もう軽は乗れない
軽自動車から新しい車に買い換えたママ友のA子。車に疎い私にでも分かるような高級ミニバンで、幼稚園の送り迎えの度に彼女はとても自慢げにしていました。
「最上位モデルでオプション盛り盛りにしたの。すごくかっこいいでしょ?」
「へぇ、すごいね」
周りのママ友たちがA子に話を合わせていると、A子は笑いながらこんなことを言ってきたのです。
「もう絶対ダサい軽には戻れない。また軽乗るくらいなら歩いた方がマシなんだけど」
私を含め、軽自動車乗りのママ友たちはこの発言にムッとしました。でも言い返すのは大人げないと思ったので、その時はさらっと話を流しました。
信じられない噂
数か月後、他のママ友たちがA子の方を見てヒソヒソ話をしていました。私は関わりたくないと思ったのですが、声を掛けられてしまったので仕方なく話を聞くことに。そこで衝撃の事実を知ってしまったのです。
「A子って給食費滞納してるんだって」
私は耳を疑いました。だって前に高級車を買ったばかりですよ? 給食費が払えないなんて信じられません。
「本当はお金に余裕がないのに、見栄を張って高級車をフルローンで買ったらしいよ」
どうしてそこまでして……と思ったのですが、どうやらA子も知り合いから軽自動車に乗っていることをバカにされて悔しい思いをしたそうなのです。それならと、思い切って訪れた車屋で一番高い車を買うことにしたんだとか。
ママ友たちから話を聞いた私は、呆れて開いた口が塞がりませんでした。
高級車の代償
車のローンの支払いに追われ、生活が苦しくなったA子。昼と夜のパートを掛け持ちすることになり、多忙な日々を送っているようです。最近は私たちにマウントを取ってくる余裕もなくなったようで、何も言ってこなくなりました。
高級車に乗ることで、自分自身のステータスが上がったように感じる人もいるようですが、本当にそうなのでしょうか? 人それぞれ価値観は違うので一概には言えませんが、生活を切り詰めてまで高級車に乗るのはかっこいいとは言えないかもしれませんね。
【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2024年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:花澤ひかる
主婦ライター。ママ友たちからの悩みを聞くうちに、この声を世に届けたいと、ブログなどで活動を開始し、現在はltnライターに転身。主婦目線を大事に、ママ世代へのフィールドワークと取材を行い、そのリアルな思いをコラムにすることをライフワークにする。