夫と死別したA子
A子は昨年夫と死別したシングルマザーです。夫は40代前半だったのですが、仕事中の突然死でした。今は小3の息子を女手一つで育てています。
夫の死は想像を絶する悲しさや寂しさでした。あまりに辛く、なかなか気持ちの整理がつかないまま、1年が過ぎようとしていました。しかし、息子のためにもこれからも生きていかなければならず、なんとか普段通りの生活を送ろうと必死でした。
幼稚園時代のママ友に夫の死は伝えていない
息子が通っている小学校は、田舎ということもあり小規模です。そのため、息子の同級生は父親が亡くなっていることはほぼ全員が知っています。
一方、息子が以前通っていた幼稚園時代のママ友たちには、夫の死をまだ伝えていませんでした。別々の小学校に入学し疎遠になっていたため、敢えて報告する必要性も感じなかったからです。
スーパーでバッタリ……
しかし、先日たまたま立ち寄った家から遠いスーパーで、幼稚園時代のママ友の1人と偶然会ってしまいました。誰から聞いたのか分かりませんでしたが、そのママ友はなぜか夫と死別したことを知っていました。
そして、ママ友からは「なんか平気そうじゃん! よかった!」とすごい笑顔で言われしまい……。A子は「う、うん、まあね」と気丈に答えたものの、心の中ではまだまだ平気ではありませんでした。
ママ友からの心無い言葉の数々に……
しかも、そのママ友は追い打ちをかけるように「早く良い人見つけなよ~!」と言ってきたのです。A子は心の底から「もうほっといてくれ!」「このママとは一生会いたくない!」と思いました。
きっと、A子には夫と死別した人にしか分からない言葉では言い表せない感情があるのだと思います。死別から何年も経過していたとしても、残された家族が平気かどうかなどはその人にしか分かりません。スーパーで会ったママ友はA子のことを勇気づけようと、敢えて今まで通りの口調で話しかけてくれたのかもしれませんが、デリカシーに欠けていたかもしれませんね。相手が負担に思わないような優しい声かけをしたいものです。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2024年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:ichika.K
2児の育児を機に、ママの悲喜こもごもを描くライターとしての活動をスタート。子育てメディアなどの執筆を経て、独立し現在はltnでコラムを連載中。大手企業の総合職でのOL経験、そこから夫の単身赴任によりワンオペでの育児を行った経験から、育児と仕事を両立するママの参考になる情報を発信すべく、日々情報をリサーチ中。