先輩「あなたは可愛げがない」
A子は新人のとき、30代の先輩女性B美から「あなたには可愛げがない。上手に周りに甘えなさい」とアドバイスされました。
B美はA子の教育係で、物腰が柔らかい女性です。
一方A子は気が強く、言いたいことははっきりと言うタイプ。
『女を武器にして仕事をしろ』と言われたようになり、不快に感じたA子は「私は媚びる女にはなりたくありません」と、B美に反発しました。
反発する後輩に対し、さらにアドバイス
新人から反論されたB美ですが、怒ることなくA子に続けてこう言いました。
「甘えることは媚びることじゃないの。素直になることよ」
A子はそのとき、この言葉にピンときませんでした。
甘えることは弱みを見せることで、弱者を装って自分に都合よく物事を進めようとしているように思えたのです。
月日が経ち、40代になった今
そんなA子ですが、社会人経験を積んだ40代になった今、B美の言っていた意味が理解できるようになりました。
人は誰でも苦手なことやできないことがあり、特に若いときは経験不足や知識不足から足りないものも多くあるもの。それをカバーするには、周囲の助けが必要になります。
周囲に素直に「助けてください」「教えてください」と言うことは、仕事をする上で大切なことで、うまく甘えられないと自分が苦労するだけでなく、良い結果を出せず周りに迷惑をかけることにもつながるのです。
「可愛げがある女=媚びる女」ではない
B美は、自分の力だけで強気にぶつかっていこうとするA子の態度が心配だったのでしょう。
実際A子はその負けず嫌いな性格から、1人で仕事を抱えて対処しきれなくなったり、周囲と衝突したりすることがありました。
経験を積んで40代になった今、B美がありがたいアドバイスをしてくれていたことがわかり、反省とともに感謝の気持ちを抱くようになりました。
もしかしたら、B美も同じ道を通ったのかもしれません。
A子は「可愛げがある女=媚びる女」という20代の考えは短絡的だったと反省し、自分と同じタイプの後輩を見つけたら同じことをアドバイスしているそうです。
【体験者:40代女性・会社員、回答時期:2024年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:江田愉子
団体職員を経て、ライターに転身。男性が管理職、女性多数が一般職の職場にて、女性と仕事、男女平等参画に関する様々な理想と現実に直面し、それを記事にすることを志す。以来、組織に所属する女性を中心にヒアリングを重ね、女性が生きやすい社会生活に関するコラムを執筆中。