自宅にまで押しかけてきた保護者。しかし思わぬ救世主が!
ある晩、自宅で母と娘たちと晩御飯を食べていると、玄関のチャイムが鳴りました。「こんな時間に誰だろう?」出てみると、鬼のような顔をしたAが立っているではありませんか。
玄関のドアを開け、Aに「どうされましたか」と聞いてみると「校長先生に何度も『うちの子の担任を変えろ』と言っているのに一向に変わらないので、担任を降りていただくよう直談判しにきた」というのです。
突然のことで対応に困っていると、私の背後から「あら、〇〇さんじゃないの?」と声が。振り向くと、私の母が立っていました。
母の顔を見るなり「せ、先生……! どうしてここに?」と驚きの声を上げるA。私もその時初めて知ったのですが、なんとAは、母が教師だった頃の生徒だったのです。Aも母もこんな形で再会するとは思わなかったようで、かなり驚いていました。
Aは学生時代、担任だった母にとてもお世話になったということでした。「まさかこんな偶然があるなんて」とつぶやくAに、母は「あなたがよく学校に苦情を入れていることは娘から聞いています。穏やかだったあなたが、一体どうしたの?」と優しく声をかけました。
するとAは泣き出し、「育児について、いつも夫と義母から責められ続けて辛い。学校の先生のせいにして、クレームを入れてしまっていた」と白状したのです。
母はAをなだめながら「他人のせいにしてたって状況は変わらないよ。自分と子供を守るために、一歩を踏み出す努力をしないと」と諭しました。Aはひとしきり泣いた後、母と私に頭を下げて帰っていったのです。
その日から、Aが学校にクレームを入れてくることはなくなりました。そしてその後、Aは「娘と二人で故郷に帰ることになった」と転校していきました。
Aのことを恨んだこともありましたが、今は同じ母親として、子供のために頑張っていってほしいと思っています。
【体験者:30代・女性公務員、回答時期:2024年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Hinano.N
不動産・金融関係のキャリアから、同ジャンルにまつわるエピソードを取材し、執筆するコラムニストに転身。特に様々な背景を持ち、金融投資をする女性の取材を得意としており、またその分野の女性の美容意識にも関心を持ち、日々インタビューを重ね、記事を執筆中。