合唱祭の伴奏者選び
娘の通っている中学校では、冬に合唱祭が行われます。市内の大きなホールを貸し切って行われ、中学校のメインイベントに位置づけられています。合唱祭前になると科目授業を減らして練習するほどの熱の入れようで、もちろん保護者も楽しみにしている行事のひとつです。
伴奏は立候補制で、多ければオーディションで決めることになっています。しかし、娘が3歳からピアノを習っていることを知った担任から、4月の時点で今年の伴奏を頼まれていました。娘もその気になっていたのですが、クラスメイトのA子が立候補したためオーディションをすることになりました。
オーディション前夜の訪問者
オーディションを翌日に控えた夜、A子の母親が突然やってきました。A子ママは開口一番、「明日は欠席してほしい」と言い出しました。
どういうことかと聞くと、ピアノ伴奏はA子がやらないといけないので、娘が来ると選ばれないから空気を呼んでほしいというのです。無理だと断ると「こんなに頼んでるのに! うちの子の人生がかかってるのに……」とブツブツ文句を言って帰って行きました。
母の暴走の真相
もちろん翌日のオーディションでは娘が選ばれたのですが、前夜の出来事が気になっていた娘はA子にそのことを話したそうです。するとA子は娘に謝りながら、真相を教えてくれました。
なんでも、A子の母はA子をどうしても芸能界に入れたいらしく、合唱祭でピアノ伴奏したという肩書が欲しかったそう。A子はピアノを習い始めてまだ3年だったのでピアノに自信がなく伴奏もしたくなかったが、母に言われて仕方なく立候補をしたということでした。A子は他にも色々習い事をさせられているらしく、娘はA子に同情していました。
娘のことを考えてのことでしょうが、母の勝手な考えで娘を振り回すのはいかがなものかと考えさせられる出来事でした。
【体験者:50代・女性パート事務員、回答時期:2024年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Kato Rira
シナリオライターとして活躍するも、出産と育児を機に、フリーライターに転身。バリキャリから、家庭と仕事の両立への転換を経験し、その思いをコラムに執筆。現在はママ、PTA、職場と家庭のバランスなどを主なテーマにコラムを執筆中。