結婚適齢期になると「結婚はまだ?」と聞かれ、結婚すると「子どもはまだか?」という質問の嵐。そんな風に人から投げかけられる言葉で、嫌な思いをしたことがある人もいらっしゃることでしょう。
筆者の友人A子さんも、そんな周りの言葉に悩んでいたうちの1人でした。

妊娠出来ない不安。追い打ちをかけるかのような実母の言葉

30代前半で結婚したA子さんのお話です。
年齢の事を気にして早く子どもが欲しかったのですが、なかなか授かることが出来ませんでした。
夫は「焦らず自分達のペースでいこう」と、味方してくれるのが救いだったのですが、

「〇〇さんとこの娘さんは、もう3人目だってよ!?」
「あんたの従姉妹の〇〇ちゃんも~」

会う度にそのような苦言を呈してくるのは、A子さんの実母でした。
実母は周りの妊娠報告を、聞いてもいないのに一方的に話し出し、

「あんたもいい加減早く産みなさい」

と言うのが、いつもの決まり文句でした。
普段なら適当にかわしていたのですが、真剣に悩み始めていたA子さんにとっては、その言葉が重く心にのしかかっていったのです……。

明るく過ごしたいのに、気分はどん底に。どうしよう……

ある年のお盆に、義実家へ集まった日のことでした。
義兄夫婦には子ども2人、義弟夫婦には子どもが1人いて、まるでパーティーのような賑やかな集まりになりました。

いつもなら可愛い姪っ子や甥っ子達と楽しく遊べるのですが、実母の心無い言葉に心身ともに疲れていたA子さんは、心が重苦しくて仕方がありませんでした。
姑はきっと「早く産みなさい」と思っているのだろうと、気が気でなりません。
楽しい集まりのはずなのに、心はどんどん落ち込んでしまい……。
「なんで私は妊娠しないんだろう」と、その思いは強くなり、徐々に涙目になってしまったのです。

その場で泣き出すわけにもいかず、夫に「少し席を外していいか」と、尋ねようとしたその時でした。

優しい言葉に思わず涙。本当にありがとうございます(泣)

「体調悪い? あっちで休む?」

A子さんに優しく声をかけてくれたのは、姑でした。
声をかけられた瞬間、思わずホロリと涙がこぼれてしまったのです。
何かを感じ取った姑は、すぐさま周りに気付かれないよう、A子さんを別室に連れ出してくれました。

そこでA子さんは、思い切って現状と苦悩を姑に話してみたのです。
すると姑は、

「今凄い辛いのに、今日来てくれてありがとうね」
「授かりものだもの、なかなか思うようにいかないよね」

と優しく背中をさすってくれて、A子さんは大号泣してしまいました。
涙が少し落ち着くと、

「話してくれてありがとう。私はA子ちゃんの幸せが一番よ」

そう言われて、不思議とスッと心が軽くなったのです。

本当は姑も、早くA子さん達の子どもを見たいと思っているかもしれません。
それでも優しく心に寄り添ってくれたことが嬉しくて、温かさが本当に心に染みた出来事でした。

まとめ

親だからハッキリ言う部分はあると思いますが、いくら親でも言い過ぎてはいけないこともありますよね。
辛いときほど、誰かに寄り添ってほしい、分かってほしいと思ってしまうもの。
そんな時に姑さんのような素敵な対応が出来る人が増えたら、世界はもっと生きやすくなるのかもしれませんね。

【体験者:30代・パート主婦、回答時期:2024年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Yuki.K
飲み歩きが趣味の元キャバ嬢。そのキャリアで培った人間観察力でコラムを執筆中。すっと人の懐に入ることができる天然人たらしが武器。そのせいか、人から重い話を打ち明けられやすい。キャバクラ勤務後は、医療従事者として活躍していたが出産を機に退職。現在はこれまでの経験で得た人間関係を取材に生かし、主に女性の人生の機微を記事にするママライター。