私の大切なもの
漫画が好きな私は、結婚の際に一度は処分したのですが、地元を離れたみしさを紛らわせるためと称して蔵書を増やしてしまっていました。
荷詰めをしてくださった引っ越し業者の方たちに、他人に見られるのは恥ずかしいと伝えると、
「お客様が大切だと思っているものを大切に運ぶのが私たちの仕事です。お気になさらないで座って指示だけくださいね。」
と優しく声をかけてくださり、気持ちよく荷出しをすることができました。
引っ越し前夜は義実家に宿泊
転居のあいさつを終え地元に帰郷し、義実家へ宿泊。
義両親は帰ってきたことをとても喜んでくれ、「らくらく引っ越し」なので手伝いは不要と何度もお断りしたのですが、手伝いを申し出てくれました。
無下にお断りすることもできず、翌朝、義両親と共に新居へと向かいました。
開梱作業中の一言
順調に荷入れは進み、年配の係員さんが荷物の開梱を担当してくださいました。
姑と私が同じ部屋で作業している際に、事件は起こりました。
複数のケースに入った大量の漫画たちを見て、開梱の係員さんが一言
「今どきの人はこんなものばっかり買って! いい大人が、大人になりきれてないんやね~。」
と言い放ちました。
「本当にね、何考えてるんやろうね。」
私を見る姑の冷たい視線。
「すみません。」とその場は謝ったものの、荷入れと片付けが終わり、皆が帰宅した後も、悔しさが募りました。
どうしても許せない
数日経っても怒りがおさまらなかった私は、今回の出来事を引っ越し業者のお問い合わせフォームに投稿、送信したことで気持ちが少しだけ晴れた気がしました。
もう忘れようと思っていた矢先の投稿翌朝、引っ越し業者のエリアマネージャーさんの来訪がありました。
「お問い合わせフォームに入れていただいた件で、お詫びとサービス向上のため何があったのかをお伺いしたい。」
と真摯な対応だったので、思いのたけをお伝えしました。
「荷出し先のエリアの作業員の方たちは本当に大切に荷造りしてくださって感謝している。それなのにこちらのエリアの方たちには、本当にがっかりした。引っ越しをプロとして請け負っているなら、言動にも注意していただきたい。人の荷物を蔑むのはいかがなものか。」
姑の前で言われた一言だったので、クレームに発展したところもありますが、プロなら「お客様が大切だと思っているものを大切に運ぶ」という気持ちは忘れないでほしいと思った出来事です。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2024年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。