世話焼きな姑
結婚当初から、とてもフレンドリーだった姑。
壁をつくらず接してくれるのがとてもありがたい半面、フレンドリーすぎると言うか、よく言えば世話焼き、悪く言えばおせっかいなところがありました。
仕事や家事について何かと「ああしなさい、こうしなさい」と言われることが多く、正直ちょっとしんどいと感じる部分もありました。ですがそのたびに「あなたのためを思っているのよ」という言葉が入ります。
それを言われると、『私のために言ってくれているのに、しんどいなどと思ったら申し訳ない』と感じてしまい、最終的に姑の意見をのむこともしばしばでした。
ですが私は、自分の意見を我慢せざるを得ないことに、もやもやも感じていました。
それって本当に私のため?
そんなある日のことです。
姑から唐突に「前から思っていたけど、あなた結婚したんだから、もう少し抑えた働き方ができる仕事に転職したらどう? ほら、これとかいいじゃない」と言われ、求人広告を渡されました。
仕事について小言を言われたことは今までもありましたが、転職まで言われたのは初めてでした。いきなりのことに驚きつつ、私は
「今の仕事で困っているわけではないので大丈夫です。それに、今の仕事がとても好きなので辞めたくありません」と答えました。
すると姑から「結婚したら、普通そういうものよ? あなたのためを思って言ってるのだから」という、いつもの言葉が発せられました。
優しさではなかったのか
その瞬間ふと、この発言に、『本当に私のためなのか? 』という疑問がわきました。
私は意を決して、
「気持ちはありがたいですが、それは自分で決めたいです」と伝えました。すると、
「口答えするなんて!」と怒りだしたのです。
そんな姑の様子を見て、『ああ、この人は自分の価値観を押し付けたいだけだ』と思った私。
「あなたのためを思って」というのは、優しさなどではなく、私を断りづらくさせるためだけの言葉だったのです。そう思うと今までのもやもやの理由に納得がいきました。
今まで申し訳ないと、我慢していましたが、これからは我慢せず、はっきり言おうと心に決めた瞬間でした。
まとめ
姑に思いやりがあったのか、なかったのかはわかりませんが、「口答えするなんて!」という言葉から察するに、多少なりとも思いやり以外の気持ちがあったのかもしれません。悪気はなかったのかもしれませんが、「あなたのためを思って」という言葉は、時に相手を縛りつけ、自分の価値観を押し付けるための言葉になり得る、ということを心に留めておきたいなと思いました。
【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2022年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:橘るい
IT企業での激務を経験する中、落ち込むことがあった日でも、ほっこりしたり笑える良い話に勇気づけられ、自らも読者を元気づけたいと思いライター業をスタート。キャリアを生かして、友人知人に取材。記事にするコラムライターとしてltnで活動中。