「あなたのためを思って」という言葉は、一見、思いやりがあるように思えますが、使い方によっては逆の意味をもつことがあるようで──? 今回は知人から聞いた、姑とのエピソードをご紹介します。
世話焼きな姑
結婚当初から、とてもフレンドリーだった姑。
壁をつくらず接してくれるのがとてもありがたい半面、フレンドリーすぎると言うか、よく言えば世話焼き、悪く言えばおせっかいなところがありました。
仕事や家事について何かと「ああしなさい、こうしなさい」と言われることが多く、正直ちょっとしんどいと感じる部分もありました。ですがそのたびに「あなたのためを思っているのよ」という言葉が入ります。
それを言われると、『私のために言ってくれているのに、しんどいなどと思ったら申し訳ない』と感じてしまい、最終的に姑の意見をのむこともしばしばでした。
ですが私は、自分の意見を我慢せざるを得ないことに、もやもやも感じていました。
それって本当に私のため?
そんなある日のことです。
姑から唐突に「前から思っていたけど、あなた結婚したんだから、もう少し抑えた働き方ができる仕事に転職したらどう? ほら、これとかいいじゃない」と言われ、求人広告を渡されました。
仕事について小言を言われたことは今までもありましたが、転職まで言われたのは初めてでした。いきなりのことに驚きつつ、私は
「今の仕事で困っているわけではないので大丈夫です。それに、今の仕事がとても好きなので辞めたくありません」と答えました。
すると姑から「結婚したら、普通そういうものよ? あなたのためを思って言ってるのだから」という、いつもの言葉が発せられました。