香害という言葉もあるように、自分ではいい香りだと思って使用している香水や柔軟剤の香りが、他人にとっては迷惑になってしまうことがよくあります。今回はとある場所で香害に遭遇した経験のある筆者の知人、Eさんのお話です。

カップルが来店して……

「2名いけます?」
ガラガラと店の扉が開き、一組のカップルが入って来ました。

「……ん?」
入口近くの席に座っていたEさんは外からの風が入ってくるとともに、強烈な香水の香りを感じて顔を上げました。

どうやら今入って来たカップルから漂ってくるようです。2人で同じ香水をつけているのか、香水の匂いが倍増して鼻を刺激してきます。

「すごい匂いだな」
そう思いながらついカップルを見てしまったEさんに、カップルの男性が気づいて不審そうな顔。
「おい、何見てんだよ!」
とEさんに絡んできました。

「お客様」
するとお店の奥から男性店員さんが出てきて、Eさんと男性の間に入ってくれました。

「お客様、恐れ入りますが退店をお願いします」
「はあ!? なんでだよ!」
「こちらをご覧ください」

店員さんはお店の入り口を指さしました。そこには一枚の張り紙があり、「蕎麦の香りを損なうため、香水をつけてのご来店はご遠慮ください」と書いてあります。

「なんだよ」
「仕方ないじゃない、決まりなんでしょ。さっき香水つけたばっかりだし」
カップルはしぶしぶ出て行き、Eさんはその後ゆっくりとお蕎麦を味わうことができたそうです。

そのカップルも悪気はなかったのでしょうが、飲食店ではあまり強い香りの香水は迷惑になってしまうこともあります。自分が香水をつける時も注意したいものですね。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2024年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。