義父のトンデモアドバイス
そんなある日、Rさん夫婦は義両親を自宅に招くことに。
「たくさんお料理作って来たから、Rさんは何も作らなくていいわよ!」
義母はそう言っていそいそとタッパーに詰めて持ってきてくれたおかずを皿に盛りつけます。
「腹減ってるから早くしてくれよー」
義母とRさんが食事の支度をしている間、義父と旦那さんはビールを手に談笑しています。
「うちの息子、家事手伝ってる? うちは旦那がアレだから変な影響受けてないかしら」
義母がRさんを気遣って聞いてくれました。
「いえ、あまり……そういえばお義母さんも働いてらしたんですよね?」
「そうなのよ、ほんと大変だったわ。あの人何もできないし。何か頼んでも失敗するから任せられなくて」
実は義両親もずっと共働きで、義母はほぼ家事も育児もワンオペだったといいます。Rさんは改めて義母を尊敬の眼差しで見つめました。
「おい、〇〇(旦那さん)いいか? 嫁に家事を押し付けられそうになったら、いい方法を教えてやる……」
食事が終わってRさんと義母がキッチンで洗い物をしていると、お酒に酔った義父の大きな声が響いてきました。
「皿洗いを頼まれりゃ、わざと皿を割ったり、洗濯をシワシワのまま干したりして、わざと失敗するんだ。男に家事なんか頼んでも無駄だと思わせろ!」
「なるほど! 父さん策士だな」
そう返事する旦那さんの声も聞こえます。
義母はさっと顔色を変え、キッチンから義父のいるリビングにずかずかと歩いて行きました。
「ふーん、今までそうだったんだ。本当はできるってことね」
慌てて義母の後についていったRさんの目に映ったのは、みるみるうちに酔いが醒めていく義父の顔でした。
それからというもの、義父とRさんの旦那さんは義母に厳しく家事を教え込まれ、今はどちらの家庭も家事を分担できるようになったそうです。
家事をやりたくないからわざと失敗するなんて許せませんね。共働き家庭は収入に関わらず、家事を分担した方が効率も良いですし、夫婦円満にもつながるはずです。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2024年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。