長く生きていると、人を見る目が養われてきます。第一印象で何となく感じた違和感が当たっていたという経験をされた方も多いのではないでしょうか? これは筆者の友人・H美が経験した、お嫁さんとの呆れたエピソードです。

息子の結婚相手

私は早くに夫を亡くし、シングルで一人息子のJを育てました。
Jは母親思いの優しい息子。
小さい頃から一人で頑張る私を支えてくれて、二人三脚で生活していました。

Jが25歳になった時に結婚することになり、私は相手の女性と会うことに。
初めて相手の女性・N絵が我が家に来た時、私は漠然とした違和感を覚えました。

N絵はまるで値踏みをするように家中を見回し、出した食器や私のつけているアクセサリーなどをガン見。
Jとは同じ職場の先輩後輩、付き合って3年が経つということで、お互いのこともよく分かった上での結婚ならと私は祝福することにしたのですが……。

違和感の正体

結婚してから、N絵は良き嫁を演じるかのように我が家に遊びに来たり、一緒に食事をしたりしていたのですが、私はどうしてもN絵の愛想の良すぎる態度に違和感を感じていました。

結婚してから1年半ほど経った頃、Jに心臓の病気があることがわかり、入院・手術をすることになりました。
すると、私の予感は的中。
N絵は手のひらを返したように文句を言い始めたのです。

「入院費や治療代はどうするの!」「生活費だって足らないじゃない!」「身体は丈夫だって言ってたのに!」など、とても妻とは思えないような発言が。
私は驚きながらも「長い人生いろいろあるわよ。こういう時ほど支え合っていかなくちゃ。」と言ったのですが、N絵はなぜか私に激怒しました。

「じゃあ、お義母さんが費用を全部出してください! 一軒家に一人で住んで、持っている物だってブランド品ばっかりだし。お金あるんでしょ?」と言い出したのです。
私はN絵に対する違和感の正体がわかったような気がしました。

本音

しかし、そんなN絵の態度に一番呆れたのはJでした。
「N絵、そんなに嫌なら離婚してくれて構わないよ。病気になっちゃったのはどうしようもないし、文句言われることじゃないと思う。それに母さんにも失礼だろ。」と一言。

N絵は「私は親がいなくて、さんざん貧乏してきたの! もう貧乏はコリゴリ! Jなら高給取りだし、実家もお金持ちっぽかったから結婚してあげたのに!」と言い出しました。
初めて我が家に来た時、値踏みするように家中を見ていたのはこういうことだったのかと私は納得。

「あれは私の夫の家なのよ。早くに亡くなったけど、家だけは残してくれたの。」と言ったのですが、N絵はすでに聞く耳を持っていませんでした。

顛末

N絵はJが入院している間に、早々と離婚の手続きを進めたそうです。
その後、Jの手術は成功し、今まで通りの生活ができるようになりました。

N絵の気持ちもわからなくはないですが、Jと離婚した経緯が会社の同僚にバレてしまい、会社に居づらくなって退職。
今はどこで何をしているかもわからないそうですが、私は自分の直感が間違っていなかったと確信。Jに結婚前に助言するべきだったかなと後悔しています。
人間長く生きていると、人を見る目は養われていくんですね。

【体験者:50代女性・会社員、回答時期:2024年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:RIE.K
国文学科を卒業し、教員免許を取得後はOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。介護士として働く。さらにシングルマザーとして子供を養うために、ファーストフード店・ショットバー・弁当屋・レストラン・塾講師・コールセンターなど、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。