他人の家の子育てに口を挟むのは憚られます。しかし、普段見せている母親としての顔と実態が違ったらどう思いますか? これは筆者が実際に出会ったママ友のお話。息子さんからのSOSに立ち上がった筆者でしたが──?

M君

私の息子が中学生だった頃のお話です。
同じ部活に所属していたM君と息子は仲が良く、とてもウマが合う友達でした。
私もM君の母親・K子とは学校で何度か顔を合わせていて、世間話をする程度の仲。
「仕事が忙しくてなかなか子どものことに関われない。」「もっと部活の大会や学校行事に参加したい。」と話している人でした。

2年生になると、M君は以前よりもよく我が家に来るようになりました。
部活が終わってから寄っていくことも多く、一緒に夕飯を食べたり、休み前には泊まっていくことも増えていったのです。

息子の『話』

そんなある日、息子がいきなり「お母さんに話があるんだけど。」と言うので、何かと思って聞くと、M君の話だと言います。
息子曰く、M君の家は母子家庭で、母親(K子)がほとんど家にいないとのこと。
「食事もお金だけが置いてあるって言うんだけど、ずっと帰ってこない時もあるんだって。どう思う?」と心配している様子でした。

M君は息子に「お前の家は良いよな。お母さんがちゃんとした人で。」と言ったというのです。
私は、普段顔を合わせているK子の様子を息子に話しました。
すると息子は「違うみたいだよ。家ではまったくMに関わらないみたい。だけど周りに気付かれたくないから、学校の行事とか部活の試合とかには来てるんじゃない?」と言いました。

確認

次の日、M君が我が家に遊びに来て食事を一緒にすることになったので、私は思い切って家のことを聞いてみることにしました。
すると、話は息子の言った通り。
私が聞いている限り、育児放棄に近い状態だったのです。

「誰か一緒にいてくれる人はいるの?」と聞いたのですが、M君曰く祖父母はすでに他界、父親とは音信不通、誰もM君の世話をしてくれる人はいませんでした。
私はお節介かと思ったのですが、ちょうど2日後に授業参観の予定があったので、K子に会えたら話をしようと思いました。

授業参観

授業参観の当日、K子を見かけたため、「ちょっと良い?」と話しかけると、どうやらK子も私に話があったようで、我が家で話をすることになりました。

K子は「何か、Mがお世話になってるみたいで。ありがとうね。」と話し出しました。
「家に帰ってこない日があるって、M君が心配してるよ?」
と言うと、K子は仕事で忙しいだけではなく、男性とのお付き合いを優先していると言うのです。

「今のご時世、女手一つで子どもなんて育てられないわよ。誰か養ってくれる男見つけないと。」と悪びれもせず言ったK子に、私は猛烈に腹が立ちました。
M君が我が家で話したことを伝えると、K子は家のことをM君が話しているなんて知らなかったと言うのです。

お節介

「お節介だと思うけど、今はM君のことを優先した方が良いと思う。いろいろ話してくれたけど、きっと寂しいんじゃないかなと思って。」と言うと、K子は苦虫をかみつぶしたような顔で
「いろいろ悪かったわね。」と言って帰ってしまいました。

その後、K子には学校で顔を合わせても無視されるように。
息子とM君は未だに仲が良いので話をする機会がありますが、M君曰く家でのK子は相変わらずだと言います。

余計なことを言ったかなと思う時もありますが、後悔はしていません。
M君が寂しい思いをしないように、K子なりの考えがあるのかもしれませんが、本末転倒のような気がするのは私だけでしょうか。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2024年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:RIE.K
国文学科を卒業し、教員免許を取得後はOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。介護士として働く。さらにシングルマザーとして子供を養うために、ファーストフード店・ショットバー・弁当屋・レストラン・塾講師・コールセンターなど、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。