夫の無自覚な言動
帰りの車の中で、夫は「Mさんの子育ての考え方好きだわ」「Mさんて頭がいいよね」「論理的なものの見方をしてる」「子どものために、一生懸命◯◯してるんだって」などとべた褒めするのです。私は「へー、ふーん」と適当な返事をしていました。
その場は適当にやり過ごせたものの、夜になってもモヤモヤが止まりませんでした。私はこの10年、育児に非協力的な夫にはなかなか頼れない状況の中、全身全霊で子どもたちと向き合ってきたつもりです。一筋縄ではいかない子どもたちなので、独学で勉強をし知識を深め、コミュニケーションをとってきました。
なのに夫は、そんな私の努力を1ミリも褒めたことはありません。子育てへの労いも、感謝の言葉もありません。気付いてもらえない、共感してもらえない虚しさをずっと抱えていたのです。
夫の言葉に傷つく妻の自尊心
あまりにモヤモヤしたので、私は横で寝ている夫を叩き起こし、「Mさんのこと褒めるのはいいけど、私への言い方がすごくよくないと思う。Mさんと私を比較しているようで嫌な気持ちになる。私が何もしていないように聞こえる」と伝えました。
すると、「(妻である私を)下げる意図はなかった。そう捉えさせてたらごめん」と夫。夫は、自分の発言に問題があることに無自覚だったのです。
夫に悪気はなかったのかもしれませんが、同じ立場の母という存在で、比較の意図はなくとも相手のことをあからさまに褒める態度は、妻である私をいつも悲しくさせるのです。
【体験者:40代・公務員、回答時期:2024年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。