労働者と雇用主が円滑に働くためにある『労働法』。労働法ではさまざまなルールが定められていますが、残念なことにルールを無視した企業があるのも事実のようです。今回はそんな労働法のなかでも『時間外労働』をめぐって起こったトラブルを、筆者の知人から聞いてきましたので紹介します。

時間外労働

私は5年ほど前から美容クリニックの看護師として勤務しています。

職場では同僚との関係が良好で、毎日忙しくも楽しく働いているのですが、このクリニックには1つ大きな問題があるんです。

その問題とは『時間外労働』。毎日終業時に書く日報を記入する時間やクリニックで使うタオルを洗濯する時間、新人に指導する時間など、直接お客さんを施術する時間以外のほとんどが時間外労働なのです。

そのため契約書の終業時間が18時であっても、実際に職場を出られるのは18時30分~45分の間。

新人の指導がある日においては、遅出出勤でも朝から出勤して指導しています。それでも支払われる給与は、実際に施術した時間だけ。

雇用形態の変動で状況も変化

私は出産のタイミングで産休・育休を取得させてもらったのですが、復帰のタイミングに合わせて時短勤務に契約を変更しています。

時短勤務に変更した理由は、保育園のお迎えに間に合わないから。

しかし、時短勤務に変更してからも時間外労働は減らず、それどころか「帰るついでにこれもお願い!」と細々とした依頼があり業務量が増えてしまいました。

そうなると保育園へのお迎えにも支障が出てきて、とくに遅くなった日には有料で延長保育をお願いしている状況です。

直談判

時間外労働に悩んでいたのは私だけではありません。

過去には同僚や先輩が何度も「時間外労働を改善して欲しい。」と会社の経営者に直談判を働いています。しかし、状況は改善されず「文句があるなら売り上げをあげてください。」と話になりません。

この状況に耐えられなくなった私たちは、ついに労働基準監督署に駆け込みました。

現状の問題点を労働基準監督署に報告したことで、会社に労働基準監督署から注意が入ったようです。

こうしてようやく時間外労働の問題が改善され、私たちは働きやすい環境を手に入れました。

組織のなかにいると、上長の決定が絶対だと思い込みがちですが、視野を広げてほかの機関に助けてもらうことも重要なのだと感じた出来事でした。

【体験者:20代・女性パート、回答時期:2024年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Emi.A
夜の世界での接客業を経て、会社員に転身。その経験を生かして、男女の人間関係を中心にコラムを執筆。結婚と出産の際に会社員として苦労した経験を経て、働く母親世代の思いにも寄り添うべく、執筆業専門に転身。現在は、男女関係、ワーキングマザーのリアルを描くライティングを行う。