相続放棄
私は義父母とのトラブルがあっても、何もしてくれない夫にもストレスを感じ、「こんな生活が続くなら、子どものためにも別れた方が良い。」と思い始めていました。
夫は口数の少ない人。
面倒臭がりなこともあって、私が愚痴を言っても聞き流すような態度が続いていました。
ある時、義父母からいきなり遺産相続の件で話があると言われた私。
どんな話かと思って話を聞くと「あなたとH貴(私息子)は相続放棄をして欲しい。私たちの財産があなたたちにいくことが我慢できない。」と言われました。
まだ元気でピンピンしているのに、相続の話なんて。
これは間違いなく、私たち親子への嫌がらせだと感じました。
もう、そこまで言われるのなら……と私は離婚を決意。
夫に「離婚しよう。」と話をしたのです。
夫の本音
夫は詳しいことを何も知らなかったので、今回の相続放棄の話も寝耳に水状態。
「離婚って? 何があったんだ?」と聞かれたので、今回の経緯や私が思っていることを話しました。
すると、普段は黙って聞いているだけの夫が「もし、おふくろたちがそういうことをするのなら、俺は実家との縁を切る。俺の家族はお前とH貴だから。今まで守ってやれなくてすまなかった。」と言ったのです。
今まで一度も味方をしてくれないと思っていた夫の言葉に、私は心の底から驚きました。
夫はすぐに義実家へ。
夫は義父母にとって可愛くて仕方ない長男です。
自分たちの行動が原因で「縁を切る。」と言われた義父母は黙ってしまったとか。
相続の件はもう一度考え直すということで、何とか決着したのです。
手のひら返し
その後、息子に縁を切られたら困ると思ったのか、義父母は手のひらを返したような態度になりました。
ただ、今までの仕打ちを考えると、簡単に信じることはできないと思っています。
今回のことで、普段聞けなかった夫の本音が聞けたことは、私の感情に大きな変化をもたらしました。
夫なりに私たちを大事に思ってくれていたことがわかり、憂鬱だった気分が少し軽くなった気がしています。
【体験者:40代女性・会社員、回答時期:2024年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:RIE.K
国文学科を卒業し、教員免許を取得後はOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。介護士として働く。さらにシングルマザーとして子供を養うために、ファーストフード店・ショットバー・弁当屋・レストラン・塾講師・コールセンターなど、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。