映えスポット
私は10年ほど前に、現在住む地方へ引っ越してきました。
自然が多く、のんびりとした田舎で、有名な観光スポットなどはありません。
周囲には山も多く、とっておきの楽しみは、近所の山の中腹から見える初日の出!
普段はほとんど人がいないような場所にもかかわらず、地元の人はみんな知っていて、大晦日には車の渋滞が起きるほどの混雑ぶりでした。
SNS
ある年の大晦日のこと。
どうやらSNSで、近所の初日の出のスポットが話題になったらしく、いつにも増してものすごい人出になっていました。
この場所で初日の出を見ることを恒例行事にしていた私たち家族は、「混んでるだろうなぁ。」と思いながらも、いつものように初日の出を見に行くことに。
日の出が見える場所は広い場所ではないので、車をふもとの空き地に停めて、少し山を登っていく必要があります。
ようやくいつもの場所につき、日の出を待っていると、思いもしなかったことが起きたのです。
マナー
私が立っていた場所は、ちょうど正面に初日の出が見える位置。
やはりいつもの年よりも来ている人が多く、かなり混み合っていました。
すると、いきなり左肩にズンと重みがのしかかりました。
何かと思って左側を見ると、隣の若い男性が私の肩に肘をついて写真を撮ろうとカメラを構えていたのです!
私は驚いて思わず右側の方へずれると、その男性の肘が落ちました。
するとその若い男性は「チッ!」と舌打ち。
私の方を向いて「何だよ、使えねぇな!」と文句を言ってきたのです。
これを見ていた夫が「え? なんなの?」と言うと、若い男性は一瞬ひるんだような顔をしましたが、その後も知らん顔でカメラを構え続けていました。
映え狙い?
その後、すぐに日の出の時間になり、初日の出を堪能した私たちは帰路に着きました。
悪気はなかったのかもしれませんが、自分の写真を撮るために、知らない人の肩を三脚代わりに使うなんて!
混んだ場所に行くことはあっても、あんなことは初めてだったので、とても驚いてしまいました。
私以上に怒っていたのは夫。
「あの言い草はぶつかっちゃったとかじゃないよな。明らかにお前の肩を使いたかったって事だろ?」
としばらく怒っていました。
混んでいる場所では、一人ひとりがマナーをしっかりと守ることが求められます。
大きなトラブルにならずに良かったですが、あんな非常識な人もいるんだと驚かされた出来事でした。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2024年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:RIE.K
国文学科を卒業し、教員免許を取得後はOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。介護士として働く。さらにシングルマザーとして子供を養うために、ファーストフード店・ショットバー・弁当屋・レストラン・塾講師・コールセンターなど、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。