電車やバスの中など、多くの人が利用する公共の場では非常識な行動は控えるのが常識ですよね。しかし人の目も憚らず、非常識な行動をする人も少なくありません。今回は電車の中で非常識行動をする女性にとんだ迷惑を被った経験のある筆者の知人Tさんのお話です。

混みあった電車の中で

その日Tさんは親戚の家に行く用事があり、そこそこ人で混みあった電車に乗ることになりました。

「あ、空いた」
最初は立っていたものの、タイミングよく目の前の席が空いたので腰を下ろしました。

しばらく乗っているうちにTさんの隣の席に座っていた人が降り、代わりに若い女性がどすんと勢いよく座ってきたのでした。

それだけでもちょっと嫌だな、と思っていたTさん。その後も若い女性は落ち着きなくカバンの中をごそごそし始めました。

女性がカバンの中をごそごそする度に肘がTさんに当たるので、一体何を探しているのかと女性の手元を見てビックリ。

なんと女性は折り畳み式の鏡を膝に置いたカバンの上に設置し、化粧ポーチを取り出していたのでした。

メイク中の女性の発言に……

どうやら女性はその場でフルメイクを始めようとするつもりのようで、いきなり手のひらに化粧下地らしいクリームを広げて顔に塗り始めます。

「え……」
下地くらいは家で塗ってきたらいいのに、とドン引きしているTさんをよそに、女性は化粧下地を塗り終えて次はファンデーション、コンシーラーとメイクを続けます。

仕上げのパウダーをパフパフとはたきだした段階で、Tさんは「粉が飛んで来たら嫌だな」と思っていました。

すると女性は化粧のパフを持ったままいきなりTさんの方に顔を向け、とんでもない発言をしてきたのでした。

「あの、邪魔なんでどっか他のところに移動してもらえます?」
「は?」
「スペースを広く使いたいんです」
どうやら女性は今からアイラインやマスカラなどのポイントメイクを始めるようで、細かい作業をするときにTさんに肘が当たるのが嫌だと言うのです。
「あなたが移動すれば? だいたいここでメイクするのがおかしいでしょ」
と言い返すと、女性は「チッ!」と大きな舌打ちをして化粧を続けました。

電車が目的地に着いたのでTさんは立ち上がり、チラッと女性のメイクの仕上がりを見ましたが、アイラインはガタガタだったそうです。

電車でのメイクは、賛否両論あるかもしれませんが、周りに迷惑をかけてまでメイクをするのは完全にマナー違反ですよね。ましてや自分の都合で人をどかそうなんてもってのほかです。

【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2024年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。