娘を見送りに行って
Oさんの娘は中学生。
連休を利用してひとりで新幹線に乗り、旦那さんの実家に行くと言い出したため、「可愛い子には旅をさせよ」という気持ちで送り出すことにしました。
「本当に大丈夫? 知らない人について行っちゃだめよ」
「もう、わかってるってば」
娘がひとりで新幹線に乗るのは初めて。やはり心配になり、Oさんはホームまでついて行くことに。
「お財布持った?」
「持ったよ」
「スマホは?」
「持ってるよ」
「じゃあ、着いたらおばあちゃんたちと写メちょうだいね」
その言葉に、娘は不思議そうに首を傾げました。
まさかの死語
「写メ? 何それ?」
「えっ! 写メ知らないの?」
Oさんは普段ママ友たちとLINEで写真を送り合う時にも「写メ」と言ってしまうほど言いなれた言葉が、中学生の娘には通じないことにビックリ。
「写真付きメールのことよ……」
「メール? LINEで送るんじゃだめなの?」
「LINEでいいよ」
「ふーん、わかった」
Oさんは複雑な気持ちで娘を見送りました。
「まさか死語とは」
あらためて娘とのジェネレーションギャップに驚くOさんでした。
娘は無事に旦那さんの実家に着き、義両親と義姉、仲の良い従姉妹たちと合流したという写真がLINEで送られてきました。
そして義姉からはこのようなLINEが。
「これから娘ちゃんと買い物に行きます。みんなでお揃いの服を買ってあげようと思うので、また写メしますね」
「やっぱり写メって言うよねぇ」
Oさんは自分と同世代の義姉も「写メ」と言うことにほっとしたそうです。
ジェネレーションギャップを感じましたが、青春時代に写真付きメールが大流行した世代には、「写メ」という言葉はとっても馴染み深いので、なかなか他の言葉には言い換えられませんね。
【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2024年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。