筆者の友人A男さんは、母子家庭で育ったのですが……。
彼の複雑な心境の話をお聞きしました。
母子家庭は仕方ないけど、ただただ寂しかった日々
A男さんが小学生の頃に、両親が離婚しました。
そのまま母に連れられたA男さんだったのですが、母子家庭となり一気に金銭的に余裕が無くなってしまったのです。
母はいつも働きに出ていて、いつ帰宅しても母の姿はなく、置手紙とご飯がテーブルに置かれているだけ。
甘えたい時にも母が家に居ないのが、本当に辛く悲しい日々でした。
母を取られたとしか思えなかった……どうしても許せなかった
A男さんが中学生になった頃、母が突然再婚することになったのです。
義父は会社を経営するお金持ちのようで、一気に家が裕福になりました。
突然一緒に住むことになった義父に、ただただ戸惑い反抗することしかできませんでした。
それでも義父はかなり優しく、A男さんに接してくれたのです。
しかし、「自分が寂しい時に母は居なかった」というトラウマから、義父を「自分から母の愛を取った男」と思うようになってしまい、
「お前らの再婚なんて認めないし最悪だ! 気持ち悪いんだよ!!」
そうキツく当たり続け、それが何年も続いたのです。
大学も入学させてもらえたのですが、卒業前の就活ではわざと遠い県外の会社ばかり受けに行きました。
そうして内定をもらい、A男さんは卒業と共に家を出ることになりました。
結婚報告で実家へ。そこでまさかの義父からお誘いが
それから約10年後、A男さんは付き合っていた彼女と結婚することになりました。
家を出てから、10年間でたった数回しか帰省しなかったのですが、彼女を紹介するため意を決して実家へ向かいました。
老いた両親は、驚きながらも笑顔で迎えてくれました。
そしてA男さんと彼女を涙ながらにお祝いしてくれて、本当に喜んでくれたのです。
その日の夜、義父が「男だけで晩酌しよう」と初めてA男さんに言いました。
気まずくて断ろうとも思いましたが、義父が何を考えて再婚したのかなど、気になる事は山ほどあったのです。
そして晩酌が始まったのですが、初めて知る義父の思いに涙が止まらなくなってしまったのです……。