車をねだられ、買ってあげることに。すると娘夫婦の帰宅時間が遅くなっていった
最初、M子と旦那さんは同じ車で一緒に都市部まで通勤していましたが、そのうち「夫婦で通勤時間が合わない日もあるし、もう一台車を買って別々に通勤したい」と言い出しました。
M子は私に「お母さん、私の車買ってよ」とねだってきました。私が「お父さんから相続したお金があるでしょ? そこから出したら?」と言うと、「あのお金はそう簡単に使いたくないから」と言うので、渋々買ってあげることに。
自分の車を手に入れてから、M子は「残業だから」と帰るのが遅くなるように。孫娘の保育園のお迎えは私が担当していましたが、M子がいないためご飯の用意から寝かしつけまで毎日私がやるようになっていったのです。
さらに、同居してから気づいたのですが、M子の旦那さんは子育てに積極的ではありませんでした。妻がいない時、私に孫娘のお世話をさせているのが気まずいのか、旦那さんも深夜まで家に帰ってこなくなってしまったのです。
「なんだかいいように使われている気がする……」と思っていた矢先のこと。ある日、「お母さん、今日も遅くなるから娘をお願いね!」と、車を置いて仕事に出ていくM子。
そして、その日なんとM子は帰ってこなかったのです。旦那さんに聞いても「会社の飲み会で遅くなるとしか聞いていない。電話しても繋がらない」と言うばかり。
「何か事件に巻き込まれたりしていないかしら?」と心配し、「ママ〜」と泣きじゃくる孫娘をなだめながら一夜を明かしました。
次の日の朝、M子は「ごめんごめん、昨日飲みすぎちゃって、会社近くのホテルに泊まってた」とヘラヘラしながら帰ってきました。
堪忍袋の尾が切れた私は「孫は可愛いけれど、長時間面倒を見るのは体力的にもキツい。それに自分の時間を削ってお世話をしているのに、さも当然のように私に預けて好き勝手するのなら、もう出ていってほしい」と娘夫婦に告げたのです。
話をしていくうちに、実は娘夫婦がうちに引っ越してきたのは、投資に失敗して借金を作ってしまい、生活が困窮したからだったことが発覚しました。うちの夫の相続資産も返済に消えたそうです。
借金で大変なのはわかりますが、娘一家と共倒れになるつもりは毛頭ありません。心を鬼にして出ていってもらったため、私は平穏な生活を取り戻すことができました。
娘一家とは、いつかわだかまりが解けた時に、また元気な姿で会いたいと思っています。
【体験者:70代・女性主婦、回答時期:2024年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Hinano.N
不動産・金融関係のキャリアから、同ジャンルにまつわるエピソードを取材し、執筆するコラムニストに転身。特に様々な背景を持ち、金融投資をする女性の取材を得意としており、またその分野の女性の美容意識にも関心を持ち、日々インタビューを重ね、記事を執筆中。