『言葉でわかりやすく伝える』って意外と難しいですよね。しっかり説明したつもりが、実は全然伝わっていなかった、なんてこともしばしば。今回は、指示がわかりにくい上司に悩まされていた知人から聞いたエピソードをご紹介します。

「いい感じで」が口ぐせの上司

以前勤めていた会社に、「いい感じで」「適当で」が口ぐせの上司がいました。

「過去のデータ探してきて。期間? 適当でいいよ」
「この情報要約して、会議資料作って。いい感じで」

『適当な期間』、『いい感じ』なんて大ざっぱすぎる指示。そのため当然、
「えっ、この期間じゃないよ、昨年度のなかでって言わなかったっけ?」
「資料、なんか思ってたのと違うんだよね」
と、やり直しになることもしょっちゅうで、心のなかで何度も「先に言ってよ!」とツッコんでいました。

私も同僚も、なんとか具体的な指示を仰ごうと、
「適当な期間とは、直近のものなどの希望はありますか?」
「資料を作るにあたって、会議の議題や重点を置くポイントはどこですか?」などと確認しようと試みたものの、毎回

「いいからとりあえずやって!」と言われるばかり。
私たちは、この指示のおかげで無駄に仕事量が増えていることに、もやもやをつのらせていました。

異動してきた女性社員

そんなとき、女性社員のAさんが異動してきました。

まだ異動したてのAさんにも、上司はおかまいなしで「いい感じでよろしく! 」といつものセリフを口にします。

私は『Aさんきっとわからないだろうな、あとでこっそり声かけよう」と思っていました。すると、Aさん「いい感じとは?」
上司「いい感じって言ったらいい感じだよ。徐々にわかってくると思うからとりあえずやってみて」

他の人に同意を求めるも……

Aさん「徐々にわかる部分ももちろんあるかと思いますが、最低限必要な情報のご説明をお願いします」とはっきり言い切りました。