最近では、トイレで座って用を足す「座り派」の男性が増えているとか。
実は、N子の家庭でも「座り派」が出現! その理由は意外なものでした。
今回は、筆者の知人N子から聞いたエピソードをご紹介します。

トイレ掃除にひとり奮闘

N子は、小6、小3、小1の息子の母です。

子どもたちは幼いころから父親の真似をして立って用を足すのが当たり前でした。

N子も「男の子だし、そんなもんかな」と思っていたのですが、現実はというと、毎日トイレの壁や床には飛び散った尿が……。

とにかく、汚れまくりです。

特に休日は、家にいる4人の男たちが次々と用を足すたびに、トイレは汚れ放題!

N子は1日に何度もトイレ掃除をしなければならず、ちょっとした地獄絵図でした。

「トイレ汚したら、自分で掃除するんだよ!」と叱ったこともあったのですが、みんな面倒臭がってなかなかしてくれません。

長男のちょっとズレた提案!?

そんなある日、長男がN子がトイレ掃除をしている姿を見て、ポツリと一言。

「母ちゃん、いつも掃除押し付けてごめん。オレ、今度から座ってしよっかな?」

──この言葉に、N子は思わずクスッときたようで、

「掃除手伝うよ」と言われるのかと思いきや、さすがは掃除嫌いの長男、掃除しない方向での提案でした。

しかし、そんな長男なりの気遣いが嬉しくて、N子はその提案を「アリだな」と思ったのです。

最近、男性でも座ってトイレをする人が増えていると聞くし、長男が始めれば弟たちもそれに続きそう。

何より、トイレ掃除が楽になると期待したのです。

息子の成長を感じる瞬間

その日は結局、長男はトイレ掃除をせずじまいでしたが、その後の日々で、N子はトイレがちょっと綺麗な日があることに気づきました。

「座って使って、しかも掃除もしてくれた?」

と長男に尋ねると、

「まぁね」

と照れくさそうに言うではありませんか!

遠回りのようで実は近道!? 「家族のために行動する」こと

掃除嫌いなはずの長男が、自分ですすんでトイレ掃除をするなんて、N子は長男の変化にとても嬉しくなりました。

親が口うるさく言うよりも、まず親自身が「家族のことを考え行動する」ことで子どもも自分で考え行動するようになるのだと改めて実感したN子なのでした。

【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2024年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Yumeko.N
元大学職員のコラムニスト。専業主婦として家事と子育てに奮闘。その傍ら、ママ友や同僚からの聞き取り・紹介を中心にインタビューを行う。特に子育てに関する記事、教育機関での経験を通じた子供の成長に関わる親子・家庭環境のテーマを得意とし、同ジャンルのフィールドワークを通じて記事を執筆。