自分の時間と労力の対価に受け取るお給料。お給料の計算方法や支払い方法は勤め先によって異なります。今回は私が生活のために勤めていたアルバイト先であった、お給料にまつわるお話を紹介します。

新店長

私は3年ほど前から、居酒屋でアルバイトをしています。勤め始めてからいままでAさんという男性が店長をしていたのですが、この度Aさんは昇進しお店から離れることになりました。

そこで新しく店長として赴任してきたのが、Bさんという男性です。

店長が変わると仕事のやり方などさまざまなことが変わるのはよくあることだと思います。
Bさんが来て一番変わったのは出退勤の管理方法でした。

勤怠管理ノートを準備しなさい

私の勤める居酒屋では、出勤時と退勤時にタイムカードを押し、時給を管理していました。タイムカードを押し忘れない限り、正当な労働時間が反映されています。

それにもかかわらずBさんは「タイムカードとは別に各自で勤怠管理ノートを準備して、勤務時間を記入して退勤時には私(店長)の印鑑を押してもらって帰ってください。」と言い始めました。

わざわざ勤怠管理ノートを準備するのは手間だと感じましたし、退勤時にいちいち店長を探して印鑑をもらわなければならないのは、正直かなり面倒で負担に感じていました。

お給料が増えた?

しぶしぶBさんの言う通り勤怠管理ノートを付けていたのですが、不思議なことにその翌月からお給料が1~2万円ほど多くなっています。

もちろん急にシフトが増えたわけではないし、時給も変わっていません。勤怠管理ノートの勤務時間と照らし合わせてみても、間違っている点は見つかりませんでした。

それからも面倒に感じつつ勤怠管理ノートでの労働時間管理を継続し、翌月もその翌月も少しだけ給料が多い状況が続きました。

店長ありがとう!

あとになって真相が判明して、私はBさんに感謝することになりました。

アルバイト先の経営者が経費削減のために、タイムカードで提出している勤務時間から毎月10時間以上勤怠を削って、給与を支払っていたのです。

それに気がついたBさんは「スタッフはタイムカード以外に勤怠管理ノートを付けているから、あとでそんなことが発覚すると大変なことになりますよ。」と経営者が不正を働かないよう動いてくれていたとのことでした。

もちろん経営者が一番悪いのですが、私はお給料がきちんと支払われていると信じていましたし、あとから自分で計算し直すようなこともしていませんでした。

見て見ぬふりをせず、かと言って従業員に不安を与えることなく、水面下で動いてくれていたBさんには感謝しかありません。

【体験者:30代・女性自営業、回答時期:2024年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Emi.A
夜の世界での接客業を経て、会社員に転身。その経験を生かして、男女の人間関係を中心にコラムを執筆。結婚と出産の際に会社員として苦労した経験を経て、働く母親世代の思いにも寄り添うべく、執筆業専門に転身。現在は、男女関係、ワーキングマザーのリアルを描くライティングを行う。