気さくな隣の奥さん
夫の仕事の都合で、田舎にある中古の一軒家に引っ越してきた我が家。
最初は慣れない土地で落ち着かない日々でしたが、隣の奥さん(Aさん)が「困ったことがあったらいつでも言ってね」と声を掛けてきてくれたので、とてもありがたく思っていました。
その後親切なAさんとあっという間に意気投合。なんでも話せる仲になりました。
庭いじりをしていると
そんな私は入居当初から、庭に生い茂った雑草が気になっていました。中古なので仕方のないことですが、私は雑草を駆除して、自分好みの草花を植えて庭を作りたいと考えるようになりました。
ある日、私が理想の庭を夢見て庭いじりをしていると、Aさんがやってきました。
「ここには何年も人が住んでいなかったから大変だね。明日私が手伝ってあげる」
私はAさんに「ありがとうございます」とお礼を言いました。
朝起きると、庭に人影が……
その翌朝。
ガサゴソ、ガサゴソ……
「まだ朝5時なのに外から変な音がする。もしかして泥棒?」
異様な音に不気味さを感じた私は、おそるおそる窓のカーテンをそっと開けました。すると、庭先にAさんの姿があったのです。
「おはよう。空き家のときから草がボーボーで気になっていたの。きれいにしておいてあげたからね」
そのときAさんは微笑みながら、手に除草剤を抱えていました。
きっと親切心から除草剤を撒いたのでしょう。ただ、早朝から勝手に人の家の庭に入って作業するなんて、正直不気味です。私はAさんの勝手な行動が信じられませんでした。
親しき中にも礼儀あり
Aさんが勝手に除草剤を撒いたせいで、しばらく草花を植えることができなくなってしまい落ち込んだ私。良かれと思ってしてくれたのでしょうが、除草剤を撒くなら一言言ってほしかったですよね。それなのに「隣の庭をきれいにしてあげたのよ」と周囲に自慢するAさんに、とてもモヤモヤしました。正直、これ以上Aさんとは深く関わりたくありません。
自分が良かれと思ったことでも、相手にとっては迷惑だということもあります。親しき中にも礼儀ありという言葉の通り、近い存在でも相手に対する配慮は大切ですよね。
【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2024年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:花澤ひかる
主婦ライター。ママ友たちからの悩みを聞くうちに、この声を世に届けたいと、ブログなどで活動を開始し、現在はltnライターに転身。主婦目線を大事に、ママ世代へのフィールドワークと取材を行い、そのリアルな思いをコラムにすることをライフワークにする。