全身に疲れが溜まっていたり、肩や腰がパンパンに凝ってしまったりして、マッサージ店に通っている人もいるでしょう。相性の良いマッサージ店に当たると身体がすっきりと軽くなることもあります。今回はそんなマッサージ店で、とんでもないお客様に遭遇した筆者の知人、Wさんのお話です。

飛び込みのお客様

当時Wさんはアロマオイルを使ったマッサージ店に勤務していました。

そのお店は整体のように姿勢や身体の不調を根本的に改善するお店ではなく、アロマオイルでリラックスしながら身体をほぐせるお店。

そのためお客様にはどこをほぐしたいのか、アロマオイルはどの香りがいいかを施術前にカウンセリングシートに記入してもらい、そこからコースを選んでもらうシステムになっていました。

そんなある日、Wさんのお店に飛び込みで女性のお客様がやってきました。
「今すぐできる?」
ちょうど待ち時間がなく、Wさんの手が空いていたため、すぐにご案内できると伝えてカウンセリングシートを手渡しました。

カウンセリングを拒否されて

「なにこれ? こんなの書かなくてもいいでしょ」
「どこが特にお疲れなのか、場所によってコースが変わりますので」
女性客はWさんの説明に首を横に振り、両腕を広げて言いました。
「プロなら触ればわかるでしょう、私の悪いところ当ててみて!」
確かにWさんはマッサージでお金を貰っているプロですが、身体を触って「ここかな?」と推測して判断するよりも、本人が疲れている場所を伝えてくれる方が確実です。

「いいからホラ、触ってみてよ! あなたプロなんでしょ」
女性客は頑なにWさんに「プロなら当てろ」と言い張ります。

「わかりました、こちらですね」
困り果てたWさんはとりあえず上から触ってみようと、女性客の頭に触れました。Wさんのお店はドライヘッドマッサージも対応しているので、髪を濡らさずに頭皮のマッサージができるからです。

「何よあなた、私の頭が悪いって言うの!?」
まさか頭から触られると思っていなかったのか、女性客は怒って帰ってしまいました。

プロの技術を信頼してくれているのはありがたいのですが、郷に入っては郷に従えと言うように、お店のシステムには従った方が良いですね。もし疲れてもいないところをマッサージされたら、ただお金を無駄にするだけになってしまいます。

【体験者:30代・女性セラピスト、回答時期:2024年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。