たとえ記憶が薄れてしまったとしても、幸せな思い出は何らかの形でずっと心の中に残っているのかもしれません。もしそうだったら素敵ですよね。今回は認知症の祖父との心温まるエピソードを、友人が聞かせてくれました。
祖父が手にしていたのは
伯母が慌てて祖父を追いかけます。直後に「お父さん、何してるの?!」と言う伯母の声が聞こえたのでみんなで様子を見に行くと、祖父は箪笥の中を引っ張り出したり、引き出しの中を開けて物をぶちまけたりして、部屋を荒らしていました。
ここまで認知症がひどいのか……と私やほかの孫たちも愕然としてしまいましたが、ふと私は祖父が手に何かを持っているのに気付きました。
見てみると、それは昔、祖父が幼かった私たちとよく遊んでくれたトランプでした。
思い出は消えない
「もしかしておじいちゃん、私たちが久しぶりに集まったから、これを探してくれてたの?」とみんなびっくり!
1人1人の顔や名前は思い出せなくても、楽しかった思い出は祖父の中に消えずに残っているんだなぁ……と、嬉しくて泣きそうになってしまいました。
その後、10数年ぶりに祖父と孫たちでトランプをして、また新しく思い出を作ることもできました。
祖父がこの日のことを覚えていてくれるかどうかは分かりませんが、私たちにとっては忘れられない大切な思い出です。
【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2024年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。