トラックのドライバーをしている頃、筆者はさまざまな人に出会うことができました。中には感謝しても足りないくらいお世話になった人もいます。このお話は、筆者が実際に体験したドライバー時代に心から感謝した男性とのエピソードです。

目的

何か悪いことをしていたわけでもないのに、私はその男性に突然声を掛けられたことに驚きました。
しかし、その男性は私のところへ来ると「ちょっとそっち持ってみな。」「ここにゴム通せ。」「ちょっと車動かせ。」などと的確に指示を出してくれて、あっという間にチェーンの装着が完了。

そう、その男性はチェーン装着に戸惑っていた私を助けに来てくれたのです。

笑顔

男性は「東京の方のナンバーだから、チェーンの付け方が下手くそなんだろう?」と笑いながら、自分のトラックへ戻って行ってしまいました。
私は慌てて近くにあった自動販売機で温かいコーヒーを買い、男性のところへお礼を言いに行きました。

「ありがとうございました! 本当に助かりました!」とお礼を言うと、男性はニコッとして「お、このコーヒー好きなんだよ。ごちそうさん!」と言って、そのままトラックで去って行ってしまったのです。

感謝

慌てていた私は、車体に書かれた社名もナンバーも確認できませんでした。
同僚には「そういうときは、ちゃんと確認して後からお礼をするもんだ。」と怒られました。
きちんとお礼ができていないのですが、知らない土地での悪天候……あの男性がいなかったらと思うと、本当に助けてもらって感謝しています。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2024年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:RIE.K
国文学科を卒業し、教員免許を取得後はOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。介護士として働く。さらにシングルマザーとして子供を養うために、ファーストフード店・ショットバー・弁当屋・レストラン・塾講師・コールセンターなど、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。