トラックのドライバーをしている頃、筆者はさまざまな人に出会うことができました。中には感謝しても足りないくらいお世話になった人もいます。このお話は、筆者が実際に体験したドライバー時代に心から感謝した男性とのエピソードです。

思い込み

私がトラックのドライバーをしていたときのお話です。
長距離の仕事を担当していた私は、あるとき、東京から九州までの仕事に行くことになりました。

季節は3月。
私は漠然と「九州はこっち(東京)よりも暖かいはずだ。」と思い込んでいて、特に何も準備せずに出発してしまいました。
しかし、中国自動車道に入ると、まさかの雪が!
それもかなり強い降りで、チェーンの装着を余儀なくされてしまったのです。

強面の男性

私は慌てて近場のパーキングエリアに入り、隅の方へ停めてチェーンの装着をすることにしました。
しかし寒さと強い雪のせいで、なかなか思うようにチェーンの装着ができず……。

私がまごまごしていると、私のトラックの隣にゴテゴテに飾った大型のデコトラが停車し、運転席からガタイの良い強面の男性が降りてきました。
その男性はこちらをジッと見ていたかと思うと、急に大きな声で「おい! 姉ちゃん!」と言いながらこちらに近づいてきたのです。