祖父母にとって孫の存在は目に入れても痛くないほど可愛いといいます。筆者の祖母もそんな一人でしたが、筆者に子どもが生まれると、祖母はひ孫である私の息子をとても可愛がってくれました。そんな祖母が亡くなる直前に渡してくれた最期のプレゼントとは? 筆者の体験談をご紹介します。

最期のプレゼント

祖母は叔母に向かって「あれ、渡してあげて。」と苦しそうに言いました。
叔母は祖母の大事にしていたカバンから小さな包みを取り出し、私の息子に「お誕生日おめでとう。これ、大きいおばあちゃんからのお祝いよ。」と言って渡してくれたのです。

その包みには震える文字で「Rくん(息子)おたんじょうびおめでとう! 大きいおばあちゃんより」と書かれていました。
確かにお見舞いに行った日の3日後は息子の誕生日だったのですが、こんな状態になってもひ孫の誕生日をお祝いしてくれようとするおばあちゃんに、私は感謝の気持ちでいっぱいになりました。

宝物

その後、祖母は他界。
まるで眠っているようなとてもきれいな顔をしていました。

保育園児だった息子は成人しましたが、祖母が最期にプレゼントしてくれたのは、半紙にくるまれた1万円だったそうです。
息子のお財布の中には、祖母から最期にもらったプレゼントが大切な宝物のように入っています。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2024年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:RIE.K
国文学科を卒業し、教員免許を取得後はOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。介護士として働く。さらにシングルマザーとして子供を養うために、ファーストフード店・ショットバー・弁当屋・レストラン・塾講師・コールセンターなど、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。