お酒好きな人にとって『禁酒』は容易いことではありません。とくに毎晩晩酌を楽しむような方にとっては、よほどの忍耐力がいることなのではないでしょうか。筆者の義母は大のお酒好き。しかし、あるときからパッタリお酒をやめてしまったのです。義母の禁酒の理由を知ったとき、涙なしではいられませんでした。

酒好きファミリー

私と旦那はお酒が好きで、毎晩のお酒を楽しみに仕事をしているといっても過言ではありません。そんな旦那の両親も大のお酒好き。

旦那の両親は結婚前から私にとてもよくしてくれていて、私もお2人のことが大好きです。そんなお酒好きな私たちと義両親が顔を合わせると、いつも時間帯お構いなしに酒盛りが開催されます。

義父の訃報

家族仲良くいつもお酒を楽しんでいた私たちですが、入籍する少し前に義父が亡くなってしまいました。

あまりに急なことで、お父さんっ子だった旦那は普段の姿からは想像もできないほど消沈してしまい、見ているこちらがつらくなるほど。

それからしばらくして、私たちは入籍しました。

義母がお酒を飲まない!?

入籍したタイミングの前後で、親族が集まったり、季節の行事で義母と食事したり、お酒を飲む機会が何度かありましたが、突然義母がお酒を飲まなくなりました。

最初のうちは「二日酔いかな?」とか「明日早いのかな?」と思っていましたが、義母はいつ会ってもお酒を口にしません。

あんなにお酒好きだったのにおかしい! と感じた私は少し心配になり、義母に体調が悪いのかと聞いたのですが「なんでもない。」と答え、別日にお酒を勧めても「今日はいいや。」と頑なにお酒を拒みます。

かなり心配していたのですが、強要するものでもないですし、飲むことがいいこととも限らないので、それ以上は聞かずに月日が流れました。

衝撃の真実

義母がお酒を断ってから数年後、私たち夫婦と義母で食事をしていたときに、旦那が義母に「おふくろ、どうして酒飲まないんだ?」と尋ねたんです。

そこで初めて衝撃の事実が発覚しました。義母は「お父さんが亡くなったときあんたが『おふくろは長生きしてくれよ』って言ったんじゃない。」と一言。義父の訃報で弱り切った旦那に言われたその言葉が耳から離れなかった義母は、それをきっかけに大好きだったお酒をやめて、長生きするために生活を見直したそうです。

義母の我慢強さと思いやりの深さに感銘を受けました。

【体験者:30代・女性自営業、回答時期:2024年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Emi.A
夜の世界での接客業を経て、会社員に転身。その経験を生かして、男女の人間関係を中心にコラムを執筆。結婚と出産の際に会社員として苦労した経験を経て、働く母親世代の思いにも寄り添うべく、執筆業専門に転身。現在は、男女関係、ワーキングマザーのリアルを描くライティングを行う。