人がひとり亡くなると、残された者たちは通夜や葬儀などの手続きに追われて悲しむ間もないこともあるでしょう。そんな大変な時に、もし故人の生前の不貞が発覚したら……? 今回はご主人が亡くなってすぐに旦那さんの愛人トラブルに巻き込まれた経験のある筆者の知人、Mさんのお話です。

旦那が急逝

Mさんは当時一流企業に勤める旦那さんと高校生の息子、中学生の娘の4人家族。

旦那さんは仕事が忙しく、出張や休日出勤ばかりであったため、ほぼMさんのワンオペで子どもたちを育ててきました。

そんなある日、Mさんのスマホに1本の電話がかかってきたのです。
「え、主人が倒れた!?」
なんとそれは旦那さんの職場からの電話で、旦那さんが倒れて病院に運ばれたという知らせでした。
「そんな、どうしよう……」
Mさんは休日で家にいた子どもたちを連れて慌てて病院に向かいましたが、家族が到着してすぐに旦那さんは息を引き取りました。急性の心筋梗塞だったとのことです。

葬儀の準備をしていると……

Mさんは旦那さんを突然亡くした悲しみに浸る間もなく、親戚への連絡や葬儀屋さんとの打ち合わせに追われることになりました。

「誰から連絡したらいいかな」
幸い旦那さんのスマホにはロックがかかっていなかったので、Mさんは難なく旦那さんのスマホの内容を見ることができました。
「な、なにこれ……」
旦那さんのLINEを開いてみると、なんとひとりの女性とラブラブな内容のメッセージがずらり。内容をたどってみると、もうずいぶん長い間その女性と浮気をしていたことがわかりました。
「とりあえずこの人にも知らせるか」
Mさんはその女性に、旦那さんが亡くなったことと通夜と葬儀の日取りを知らせるLINEを送りました。

愛人が参列

「あの、私……」
旦那さんのお通夜に、泣きはらした顔の女性が参列してきました。
「ああ、もしかしてあなたが? ちょっと終わってから話しましょう」
Mさんはすぐにその女性が旦那さんの愛人だとわかり、通夜が終わったあとに残ってくれるよう伝えました。

「主人とはいつから?」
通夜のあと、Mさんはその女性と誰もいない葬儀場で話をすることに。
「5年前からです」
Mさんはその女性に旦那とはいつから付き合っていたのか、関係や思い出話などを詳しく聞き出しました。
「不倫してたって認めるのね?」
「はい」
愛人の女性がか細い声で答えると、Mさんは喪服の袖からスマホを取り出しました。
「はい、じゃああなたに慰謝料を請求します」
「え!?」
実はMさん、愛人との会話をスマホで録音していたのでした。

そしてMさんは葬儀が終わったあと、弁護士さんに依頼してその女性に決して少なくない額の慰謝料を請求したそうです。

お互い愛する人を亡くした悲しみがあったと思いますが、それと不倫は別問題。夫の急死と不倫発覚という大事件のさなかに、よく冷静に対応できましたね。不倫のツケが思わぬタイミングでまわってきて、愛人女性も驚いたことでしょう。

【体験者:50代・女性主婦、回答時期:2024年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。