地方の中学校では、入学と同時に自転車で通学が必要なケースがあります。筆者の友人・Sの息子さんは、入学直後の自転車通学中にトラブルに巻き込まれてしまいます。息子さんをトラブルから救った思わぬ救世主とは誰だったのでしょうか? 友人Sから話を聞きました。

犯人

私は次の日、息子と一緒に事故の現場に行き、ちょうどその場にいた工事の監督さんに話を聞くことができました。
助けてくれたのはその現場で働く職人さんで、監督さん曰く、息子とぶつかった加害者はよく見かける男性とのこと。
話しているタイミングでちょうどその男性が通りがかったため、息子を助けてくれた男性が声を掛けてくれました。

「あのさぁ、あなた昨日ここで中学生の男の子とぶつかったよね? 何で謝りもしないでそのまま行っちゃったの?」と言うと、加害者の男性は知らん顔をして行こうとしました。
すると監督さんが「うちの現場は監視カメラつけてるよ? 昨日の映像だったらまだ残ってるんだけど? この子、ケガしてるんだよ?」と言ってくれたのです。

謝罪

監視カメラと聞いて恐れをなしたのか、その男性は息子のところへ来て「すみませんでした。」と一言。
そして私に名刺を渡し「治療費や自転車の修理代はこちらで負担します。」と言いました。

助けてくれた男性に改めて私がお礼を言うと「当たり前のことしただけだから。」と言い、息子に「大丈夫か? 頑張れよ!」と言って、現場に戻っていってしまいました。

ありがとう

後日、私はお礼の品を持って工事現場へ行きました。
すると助けてくれた男性は「そんなことしなくて良いのに!」と言いながら「息子さん、毎日頑張ってこの道走ってるよ!」と言ってくれたのです。

親以外にも見守ってくれる存在を、私はとても心強く感じました。
きっと息子も、困ったときに助けてくれた恩は忘れないと思います。

【体験者:40代女性・自営業、回答時期:2024年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:RIE.K
国文学科を卒業し、教員免許を取得後はOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。介護士として働く。さらにシングルマザーとして子供を養うために、ファーストフード店・ショットバー・弁当屋・レストラン・塾講師・コールセンターなど、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。