自分の子どもが可愛いのは、どの親も同じですよね。でも、子どもによって得手不得手があるのも当然です。ただ、中には何でも自分の子どもが一番じゃないと気が済まない親もいるようで……。これは筆者の友人・Oが体験したママ友とのエピソードです。

教育熱心な保護者・H

私の息子と同じクラスにHという保護者がいて、とにかく自分の息子が一番じゃないと気が済まない人でした。
Hの息子は運動神経抜群で足が速く、常にリレーなどの選手になっていたのですが、勉強は得意ではないようでした。

反対に私の息子は運動は苦手だったものの、本が好きで、読書感想文などの作文の実力には定評があり、小学4年生頃からは常に市や県の優秀賞に選ばれていました。
Hは自分の息子の成績が悪いことをひどく気にしていて、家庭教師などをつけていたのですが成績は上がらず、いつも表彰されている私の息子を目の敵にするようになっていきました。

唐突なお願い

小学6年生になると、教育熱心なHは息子に私立受験をさせるという噂が流れました。
ある日、私が近所のスーパーでHと顔を合わせると、いつもは無視していくのに、その日に限ってニコニコと近づいてきたのです。

Hは「O君、いつもすごいよね。作文とか読書感想文とか表彰されるでしょ? どうやって教えてるのか聞いてもいい?」とのこと。
「私は何も教えてないの。息子が一人で書いているから」と答えると、Hは「ねぇ、ちょっとお願いがあるんだけど」と声をひそめて話し始めました。

「実はうちの子、受験を考えてるの。学校の成績をアップさせなくちゃいけないんだけど、宿題以外に作文を提出すると加点されるのよ。何とかO君に書いてもらえないかしら?」と頼んできたのです。
私が「そんなことはできない」と断ると、「もちろんタダとは言わないわ。10万円でどう? おたくも困ってるんでしょ?」と上から目線で持ち掛けてきました。

非常識な頼みはお断り

確かに我が家は一般的なサラリーマン家庭で、それほど経済的に余裕があるわけではありません。
だからといって、お金で解決しようとするHの非常識な依頼に腹が立ちました。

我が子の受験のためとはいえ、うちの息子を使ってでも成績アップを図ろうとするHに呆れた私は「他をあたって」と言ってその場を立ち去ったのでした。