世間体を気にする人は、自分の本当の気持ちよりも「こうした方が周りから良く見られる」という考えを優先しがちです。親子関係でもその影響が現れるので、子どもの選択肢を制限してしまうことがあるかもしれません。今回は、筆者の知人A子から聞いた、高校受験を控えた2組の親子のエピソードをご紹介します。

T江の自慢とA子の葛藤

A子の娘とママ友T江の娘は同級生で、子ども同士は幼いころから仲が良かったのですが、A子はT江が娘たちの成績を比べたがることに嫌気がさしていました。高校受験が近づくと、T江はしつこくA子の娘の進学先を聞き出そうとし、A子を困らせました。

A子が渋々、地元の公立高校を選択肢に考えていると伝えると、T江は「もっと有名な高校じゃないと卒業後の進路が心配」と言い、自分の娘は偏差値の低い高校には行かせたくないと断言したのです。その公立高校は有名ではありませんでしたが、地元の子どもたちが多く通う、落ち着いた校風の学校でした。

A子はT江の態度に腹が立ちましたが、反論せず、それ以降受験の話を避けるように。その後、T江は娘を自宅から離れた高額な学習塾に通わせ、私立の進学校に合格させました。

驚きの進学先の一致

A子の娘は最終的に地元の公立高校を志望校にし、合格しました。しかし、3年後、 A子の娘とT江の娘はなんと同じ私立大学に進学。T江があれほど批判していた公立高校から結局同じ大学に進むことになったのです。