一度は身に着けてみたい憧れのブランドがあるという人は多いのではないでしょうか。そのブランドのものを購入するために、頑張ってお金を貯めているという人も。今回は、憧れブランドの服を買おうと思ったら、店員さんから思いがけない発言をされた経験のある筆者の知人、Nさんのお話です。

お店に行ってみると……

数か月後、Nさんの努力が実を結び、ついにワンピースを購入できるお金が貯まりました。

「やっと、あのお店に行ける……!」
Nさんは仕事を終えた足で、ずっと夢見ていたショップへ向かいました。ショーケースの中には、あの日雑誌で見た憧れのワンピースが誇らしげに飾られていました。

「すみません、このワンピースを試着したいんですが」
Nさんが勇気を出して声を掛けると、若手の店員さんはNさんの服装を一瞥し、渋い顔で答えました。

「この商品は非常に高価なものですので、お客様には少々……」
「えっ…… 」

明らかに「あなたには買えない」という態度の店員さんに、Nさんの胸は締め付けられました。

「値段は知っています。この日のために、ずっと大切に貯めてきたんです」
Nさんは震える手で、大切に用意してきた封筒を差し出しました。そこには、数ヶ月間の努力の結晶である、代金ちょうどのお金が入っていました。

「た、大変失礼いたしました! あまりにお若い方だったので、つい……」
店員さんは真っ赤になって黙り込んでしまいました。

「大変失礼いたしました、こちらのワンピースですね」
一部始終を見ていた年配の店員が、穏やかな微笑みと共に割って入ってくれました。ベテラン店員に案内され、憧れのワンピースを身にまとったNさん。

サイズは驚くほどぴったりで、鏡の中には少し大人になった自分がいました。 Nさんはそのまま、誇らしい気持ちでお会計を済ませました。

年齢や身なりだけで人の価値を判断すると、大切なことを見失ってしまうことがあります。憧れのブランドだからこそ、その思いを抱いて訪れるすべてのお客様に、温かく平等な対応を期待したいものですね。Nさんにとってそのワンピースは、単なる服以上の「自信」という価値を与えてくれたはずです。

【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2024年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。