産後に旦那さんに非協力的な態度を取られたことを許せない、いわゆる「産後の恨みは一生」と言われる言葉がありますが、出産をするときにも旦那さんの態度に対して恨みを抱く女性もいます。今回は、陣痛で苦しんでいる際に旦那さんに言われた言葉を未だに忘れられないという筆者の知人Tさんのお話です。

旦那を叱りつけたのは……

「なんだ、まだ生まれねえのかよ! こっちは仕事を切り上げて来てるのに……」
Tさんはその発言にムッとしながらも、激しい陣痛のため何も言い返せず、ただ荒い呼吸を整えるのに必死でした。

すると突然、助産師さんの冷静ながらも力強い声が響き渡ったのです。
「あのねえ旦那さん、お産を甘く見ないで! そんな簡単に産めるようなもんじゃないんです。奥さんはこれから命がけであなたとの子どもを産むんですよ!」

その声の主は、Tさんの出産をサポートしてくれる助産師さんでした。
「今は、奥さんの心身のサポートに専念してあげてください」
「あ…… なんかすみません!」
専門家からの毅然とした指導に、旦那さんは圧倒されてすぐに謝罪しました。
「私じゃなくて、奥さんに!」
「ご、ごめんな……」

謝って貰ったものの、Tさんはこの時の旦那さんと助産師さんのやりとりを、子どもが大きくなった今でも忘れられないそうです。この経験を通じて、愛する相手でも自分の苦しみを完全に理解することはできないのだと痛感したと言います。

出産時は一体どんなトラブルが起こるかわかりませんし、母子ともに命がけです。

立ち会いをする際はどんなに時間がかかっても、思いやりと励ましの言葉だけをかけるようにして欲しいものですね。

【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2024年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。