気心の知れた同僚に、つい仕事の愚痴を言いたくなる時もありますよね。今回は筆者が同僚たちと電車に乗った時に起きた、ヒヤッとする出来事を紹介します。上司の愚痴を言う同僚の背後にいたのは……?

同僚たちと電車に乗っていると、話題が上司の話に

これは、私が以前勤めていた職場で起こった出来事です。とある週末、会社帰りに同僚と飲みに行くことになりました。

いつもは職場の近くのお店で飲むのですが、夏ということもあり、「たまには繁華街にあるビアガーデンにでも行こう」という話になったのです。

ビアガーデンのある繁華街は、会社から電車で数駅のところにあります。私たちが電車に乗ると、運よくボックス席がまるまる空いていたので、全員で座ることができました。

近況を報告しあっていると、話題は自然と会社の話に。すると同僚のKくんが、パワハラ気質で有名なA課長について、「そういえば今日、A課長が新人に怒ってたの見た? あの怒り方はないよな!」と言い出しました。

「確かにそうだよね」と同意すると、Kくんは共感を得て気が大きくなったのか、続けて「今時あんな怒り方する上司ってA課長くらいじゃない? そのうちパワハラで訴えられて消えるのが目に見えてるよ!」と熱弁。

うんうんと頷いていた私たち。しかしその時ふと、私の目に、Kくんの後ろに見覚えのある髪型の男性が映ったのです……。

同僚の後ろにいた「あの人」に気付いて、その場の空気が凍りついた

私がKくんの後ろにいる男性に気付いたのと同じタイミングで、私の隣に座っていた同僚も男性の存在に気づいて、顔が真っ青になっています。

もうお気づきでしょうが、そのKくんの後ろに立っているのは、紛れもなくA課長本人だったのです。

私は慌ててKくんに、ジェスチャーと口パクで「本人が後ろにいる」と必死に伝えました。

Kくんは私のメッセージを理解し、一瞬固まったあと、そろりと後ろを振り返りました。そしてA課長の姿を見て、この世の終わりかのような血の気が引いた表情に。

その時電車は混んでおらず、比較的静かだったため、(絶対、今の話は聞こえていたよな?)と観念する私たち。A課長が鬼の形相でこちらに向かってくるのを覚悟しました。

しかし、意外にもA課長は何事もなかったかのように、次の駅で降りて行ったのです。

何も言われなかったことに驚いたものの、張り詰めていた緊張の糸が切れて、私たちはホッと胸を撫で下ろしました。