友人のA子が学生時代に仲居さんとして働いていた京都の料亭では、コースによっては料理を盛り付ける器に、陶芸家や美食家など超有名人が作った高級な器を使用していました。そのため、A子たち仲居も器の取り扱いに細心の注意を払っていました。
その料亭に来るお客様は、見るからにお金持ちの方が多く、和食のマナーを心得た方がほとんどでした。しかし、中には食べ終わったあと、器を重ねる方もいて……。
友人のA子から聞いたマナーにまつわるちょっと困ったお話です。

お客様からしたら、善意で器を重ねてくださっているかもしれませんが、店側にとってはヒヤヒヤもの。お客様が器をいくつか重ねる際に手を滑らせてしまったり、重ねたことで少しでも器が欠けてしまったりすれば、次からはその器は使えなくなってしまうのです。
忙しそうな仲居さんたちを見て、手伝ってあげたくなったのかもしれません。器を重ねるのは1回で多くの器を持てるようにという、お客様からの気遣いだと思いますが、悪気なくマナー違反になってしまったようです。
食べ終わった後は、片付けはお店の方にお任せするのが良さそうですね。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

Illustrator:じんまなみ
ltnライター:ichika.K