娘は普段通りの様子だけど……
A子は、B子の様子を注意深く観察しました。いじめのサインがないか確認したのです。
傷は見当たらないし、暗い表情もしていません。
A子は食事のときに、さり気なくB子に学校の様子を尋ねました。
「部活は楽しい? どんな友達がいるの?」と質問しましたが、B子は素っ気ない態度。
A子の質問を無視し、さらに質問を重ねると「うるさいな!」と文句を言ってだんまりです。
焦れるA子でしたが、B子は返答してくれませんでした。
悩んだA子は、夫に相談しました。
ところが、夫は「ケンカでもしたんだろう。学校に通ってるなら問題ないんじゃない? しばらく様子を見たら」とのん気な態度です。
でも、いじめの事実があるなら、様子を見ているうちにいじめ行為がエスカレートしそう。
本人のSOSを待とうかも迷いましたが、事態が悪化するのを恐れたA子は、B子にズバッと聞くことにしたのです。
娘が母に告白した驚きの内容とは?
A子はB子に血のついたTシャツを手に、「これ、B子の部屋から見つけたんだけど、何があったの? 学校でお友達にひどい目に遭わされてない? お母さんに全部話して、お願いだから」と真剣な表情で尋ねました。
血が付着したTシャツと、深刻そうな雰囲気の母親にぽかんと表情を見せたB子ですが、次第に表情が変化していきました。
ばつが悪そうな顔になり、「血つきTシャツの真相」を説明したのです。
「部活の友達たちとハロウィンに遊んだときに、汚れたの。それ、パーティーグッズの血のりだから」と、気まずそうに告白したB子。
A子は本物だと思い込んでいましたが、偽物の血だったのです。
ホッと一安心! からの……
いじめの事実はなく、A子はホッと一安心。
安心した途端に、怒りがこみ上げてきました。「紛らわしいわ! 洗濯物はちゃんと出しなさいよ!」と、涙目でB子を叱りつけたのです。
B子は「ちょっと忘れてただけじゃん。勝手に部屋に入るなんて、プライバシーの侵害!」と文句を言っていましたが、自分のことを本気で心配して向き合ってくれた母を見て、何か思うことがあったようで。
少しだけですが態度が和らぎ、ポツポツと会話をしてくれるようになったそうです。
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:江田愉子