そして数日後、また雨の日がやってきました。Dさんは自分で使う用の傘と仕掛けをした傘と2つ持って行き、職場の傘立てには仕掛けをした傘を入れ、自分の使った傘はデスクの下に隠しておきました。
お昼の時間、Dさんは友人とランチルームで食事した後、友人と一緒に自分の部署へ戻ると、真っ赤な顔をしてDさんの買ったばかりのビニール傘をもつ先輩のZさんがいました。
盗んだ人も驚きの仕掛けとは!
「あ、その傘!」とDさんが言うと、「あなたの仕業ね! この傘なんなのよ!」とZさんが怒り狂っていました。「いや〜実は、最近傘が頻繁に盗まれて困っていたんです。せっかくだから『この傘は盗まれたものです』って、他の人にも気づいてもらえればいいなと思いまして。Zさんだったんですね〜」とDさんはニコッとしました。
実はDさんが傘に施した仕掛けは、赤の油性ペンで「私がこの傘を盗みました」と傘の表に書いておいたのです。しかも、今回の傘は一部分だけビニール以外の素材を使っている傘で、その部分は内側からは外の模様が見えないデザインになっていました。
その部分に書き込んだので、盗んだZさんは知らないうちに街中で笑い者になってしまったというわけです。
その場には、Dさんと一緒にランチを食べた友人もいたので、逃げようのないZさんには洗いざらい話してもらいました。Zさんいわく「自分の傘を持ってくるのが面倒くさかった」とのことでした。確かに曖昧な天気予報だと、傘を持って行くのをためらう時もあります。でも、だからと言って他人の傘を無断で盗んでもいい言い訳にはなりませんよね。そして、今まで盗んだ傘2本と今回犯人探しに使った傘1本の代金を払ってもらい、Dさんはちょっとお高いオシャレなビニール傘を購入したのでした♪
※窃盗・詐欺は犯罪行為です
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:南さおり