「定年退職したお父さんが毎日自宅にいて辛い」と愚痴る母親
私には離れて暮らす60代の両親がいます。父親は新卒で入社した大手企業で40年以上勤め上げて退職、母親は20代後半で結婚してからずっと専業主婦でした。
父親は昔ながらの亭主関白な性格で、母親や私たち子供が自分の言うことを聞かないと、すぐに殴ったり怒鳴ったりする人でした。
退職後、父親がずっと家にいるようになり、母親から「お父さんが家にいるようになってから家事が2倍に増えた上、いつも怒鳴られるのでしんどい。お母さんも定年退職がほしいわぁ」と愚痴を聞かされることもしばしば。
そして父親の退職から数年後、母親からかかってきた1本の電話で、私は両親の惨状を知ることになるのです。
「生活費が足りない」という母親。その理由に唖然
その電話の内容は、「今月生活が厳しいのでお金を貸してほしい」という相談でした。
私は「貯金や退職金があるはずだけど……」と不思議に思いましたが、これまでの感謝もあるので、まとまった金額をすぐに渡しました。
すると3ヶ月後にまた「お金を貸してほしい」と連絡が。さすがにおかしいと思って母親を問いただすと、父親が金銭感覚を現職時代から変えることができずに散財し、生活費が足りないばかりか貯金も使い果たしてしまったと白状したのです。
これはただ事ではないと思い、すぐに実家に帰り、両親と話をしました。月の収支を聞くと「年金収入が月20万円、支出が月30万円」と完全に赤字。
支出の半分以上が父親の飲み代など娯楽費だったので、父親に改善するように言いましたが、「家計管理は妻の仕事なんだから、やりくりできないお前が悪い」と母親を責めるのです。
私が何か言うと「親に向かって何様だ!」と殴りかかってきて話にならないので、一旦その日は帰りました。
その後、母親を説得して……
その後、「もうお父さんと離れたいけど、専業主婦だから何もできない」と言う母親と何度も話し合い、結果的に母親を私の家の近くの賃貸アパートに避難させました。
初めての1人暮らしで、最初は不安そうだった母親も、今ではパート先を見つけ、離婚に向けてお金を貯めています。
両親が離婚するのは少し悲しいですが、父親が生活を改めないとあっては仕方がありません。父親にも趣味や付き合いがあるのはわかりますが、母親の幸せを考えると、正しい選択をしたと思っています。
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Hinano.N