回覧板が回ってこなかった理由
そんなとき、祭りの会場で隣の奥さん(Bさん)を見つけたAさん。Aさんは「Bさ~ん!」と声を掛けました。
「あらAさん。なんですか?」
「祭りの案内が書かれた回覧板が回ってこなかったんです。Bさんはうちに回してくれましたか?」
「何が言いたいんですか? ちゃんとすぐに回しましたけど。もしかして疑っています?」
「いえ、そんなことは……」
Bさんに責められたAさんは、泣く泣くお祭りを諦め帰ろうとしました。そのときです。
「Aさん。Bさんのことなんだけど」
ママ友CさんがAさんにこっそり声を掛けてきてくれました。
「BさんはAさんのこと恨んでるんだよ。前に『もう少し静かにしてほしい』って言ったことなかった?」
実はAさん。半年ほど前に、早朝や夜遅くに、道路で大声で騒ぐBさんの子供たちに我慢の限界を迎え、注意したことがありました。それ以後、BさんはAさんの悪口を周囲に漏らしているのだそう。
さらにBさんがAさんの家を飛ばし、二軒隣りに回覧板を回しているところを、Cさんは目撃したというのです。
町内会長の言葉
これを聞いたAさんは、真相を確かめようとしました。
「Bさん、 回覧板を飛ばして回していたって本当ですか?」
「……そうだけど? あなたが神経質なせいでこっちは迷惑してるの。その仕返しよ!」
開き直るBさんに、Aさんは怒りが収まりません。Aさんがガツンと言い返そうとした瞬間、年配の男性が声を掛けてきました。
「Bさん、あなたがしたことはあまりに大人げない!」
その声の主は、祭りの会場にいた町内会長でした。
「Aさん、参加費は後でいいのでお祭りに参加してください。Bさんは向こうで少し話しましょう」
顔面蒼白になったBさんは、町内会長に連れて行かれてしまいました。
ちょっとしたことがきっかけで、隣人トラブルは起きてしまうもの。Bさんは自分の子供が注意されたのが気に食わなかったのでしょうが、仕返しをしていいという理由にはなりませんよね。どうしても仲良くなれない相手はいますので、時には割り切って諦めることも大切でしょう。
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:花澤ひかる