嫁いびりはもちろん良くない行為ですが、実は姑本人にはいびっているつもりがない場合もまれにあります。嫁と姑の嫁いびりに対する認識の違いによって、深刻な嫁姑問題に発展することも。今回は筆者の知人Kさんに聞いた、嫁いびりに関するお話です。

実家への電話を聞いてしまい……

しかしそれからも、Kさんがちょっとしたことを注意すると、お嫁さんがすぐに「嫁いびり」と泣きながら大騒ぎするというパターンは変わりません。

「困ったなあ……」
Kさんがもう何も言うまい、と思って注意しないでいると、今度は「何か言いたいことがあるんじゃないですか」と言われてしまいます。

これが俗に言う嫁姑問題なのか、とKさんは悩み、家であまりお嫁さんと顔を合わせないようにするしかありませんでした。

「母さん、今帰り?」
ある日の夕方、仕事帰りのKさんは駅で息子さんとバッタリ会って、一緒に家に帰ることになりました。
「今日はずいぶん早いのね」
「ああ、ノー残業デーなんだよ」
2人で他愛のない話をしながら玄関のドアを開けると、誰かと電話をしているらしいお嫁さんの声が聞こえました。
「そうなのよ、もうお姑さんが細かくて困っちゃう! お母さんの気持ちがわかったよ」
どうやら実家のお母さんと電話をしている様子。Kさんと息子さんは玄関で立ち止まり、「ただいま」と声をかけるタイミングをうかがっていました。

「あのクソ姑、めちゃくちゃ嫁いびりしてくるんだよ! まあ泣いてるふりしたら謝ってくるから楽勝だけどね。嫁いびりってほんと最低だよね!!!」
気を遣っているつもりなのに、クソ姑とまで言われてしまうのか、とKさんはショックを受け、そのまま玄関に座り込んでしまいました。

「おい、被害妄想はいいかげんにしろ!」
息子さんは大声をあげながら家の中に入っていきます。

まさか聞かれているとは思わなかったのでしょう、お嫁さんが何か言い訳をする声が聞こえましたが、Kさんはそのまま自分の部屋にこもりました。

同居したのが間違いだったのかと、Kさんは息子さんに別に暮らすことを提案しましたが、結局息子さん夫婦はこのことがきっかけで離婚することになったそうです。

Kさんは気を遣っているつもりでも、お嫁さんは嫁いびりだと感じていたのかもしれません。何をもって嫁いびりと判断するかという明確な基準はありませんが、あまりに過敏すぎるのも考えものですね。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子