今や多くの人がお世話になっている宅配。宅配員をやっていると時には変わったお客さんに出会うこともあるようです。配達時にはにこやかに対応してくれたお客さんが、後から会社にクレームを入れて来ることも。納得のいく理由ならまだしも、身に覚えのない事や理不尽な理由でのクレームは困ってしまいます。
今回は知人から聞いた宅急便のアルバイトをしている時に出会った、謎のクレーマー女性のお話です。

一体なぜ? コーヒーを断ると会社にクレームが!

ftnews.jp

押したハンコの端が薄くなってしまった事を気にする女性。しかし私が問題がない事を伝えると、女性は「そう? ありがとう!」とすぐに納得したようでした。その後女性から「そうだ! これ良かったらここに座って飲んでいったら?」と玄関まで入ってコーヒーを飲んでいくように勧められたのですが、さすがにそこまでするわけにもいかず、私は「この後も仕事がありますから」と言って丁重にお断りしました。

仕事を終わらせて会社に戻ると、上司から呼び出しが。何事かと思い上司の話を聞くと「ハンコがかすれているのに大丈夫と言い張って、宅配員が帰ったって言うクレームが入った」と言うのです。それだけでなく「しかも飲み物をせがんで玄関に座り込んで、コーヒーを飲んでいったって」とまで。驚いた私は「そ、そんなことしませんよ!!」と大きな声を出してしまいました。すると上司は「分かってるよ、君がそんなことしないのは」と言ってはくれたものの、困っている様子です。

結局、クレームが入った以上放置するわけにもいかず、翌日謝罪に行きました。
私が「ハンコが気になるようでしたらもう一度こちらに……」と改めて受領印をもらおうとすると、女性は怒ったように乱暴にハンコを押して、それが終わると部屋のドアをバタンと締め、中に入ってしまいました。

別業種に就職した今でも『あれは一体なんだったんだろう?』とたまに思い出します。

女性はもしかしたら少し構って欲しかったのかもしれませんね。しかし宅配員は常に時間に追われて忙しい身。コーヒーを飲みながらゆっくり茶飲み話などしている暇があるなら、1つでも多く宅配したいのが本音のはず。宅配員さんではなく別の話し相手を探すのが賢明でしょう。

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※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

Illustrator:堀まいん
ftnコラムニスト:藍沢ゆきの