飲食店では食中毒や異物混入を防ぐため、帽子を着用するなどの決まりが厳しいお店が多いですよね。当然のルールですから、そこで働く人にはきちんと服装規定を守って欲しいものです。今回はそんなルールを無視して勤務する困った人に遭遇した経験のある私の知人、Cさんに聞いたお話です。

お客様からのクレーム

「ちょっと! スープに髪の毛が入ってるんだけど!」
翌日のランチタイム、食事に髪の毛が混入しているとクレームが出てしまいました。
「大変申し訳ございません! すぐに新しいものをお持ちします!」
たまたまCさんが対応したため、あわてて髪の毛が入ったスープを下げて新しいものを提供しました。しかし、黒髪のお客様の怒りはおさまらず、ベテラン女性を指さして言いました。
「あの人が持ってきたのよ、なんであの人だけ帽子被ってないの?」
「それは……」
Cさんが口ごもると、たまたま本社から来ていたマネージャーが顔を出しました。
「どうしました?」
「あの、異物混入です。髪の毛が入っていて 」
「みんな帽子を被ってるはずですよね?」
「は、はい」
なんとベテラン女性はマネージャーが来たのに気づいてすぐ帽子を被ったようで、知らん顔をして他のお客様へ料理を運んでいます。

その場はマネージャーと店長がお客様に謝罪をしたことでなんとか収まりましたが、その後Cさんとベテラン女性と数人のパートが店長室に呼ばれました。
「みんな、帽子をとって」
いきなりマネージャーに言われ、Cさんたちは不思議そうな顔で帽子を取りました。
「ああ、やっぱり」
マネージャーは皆の髪を見るなり、ベテラン女性に言いました。
「スープに入ってたの、〇〇さんの髪だわ」
マネージャーは白いナプキンに乗せた1本の髪の毛を皆に見せました。それはかなり明るい色に染められた茶髪で、その日出勤していた人の中でベテラン女性以外は皆黒髪だったのです。

「ちゃんと帽子被ってなかったでしょ、お客様もそうおっしゃってましたよ!」
その後Cさんたちは部屋から出され、ベテラン女性と、ベテラン女性への指導を怠った店長がたっぷりマネージャーに叱られたそうです。

異物の混入は飲食店で決して犯してはいけないミスです。まったくミスがなくなるのは難しいかもしれませんが、異物混入の可能性を下げるためにも、決められたルールは守るべきでしたね。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子