自転車で息子の送迎をするA子
A子は幼稚園に通う息子を真新しい自転車で送り迎えしています。自転車と言えど、電動自転車なので10万円以上する高価な自転車です。アップダウンのある地域に幼稚園があるので、普通の自転車だと親の体力の消耗が激しく、自転車で送迎するママたちのほとんどが電動自転車に乗っているようでした。
自転車での送迎をバカにしてくるママ友B子
ママ友のB子とは送迎の時間がかぶることがよくありました。自家用車で送り迎えをするB子は送迎時に会うたびに、A子に向かって「自転車大変だね~暑いし寒いし日焼けするし!私には絶対ムリだわ~よくできるね(笑)」とバカにしたような言い方をしてきます。
A子の家にはミニバンタイプのファミリーカーが1台あるのですが、日ごろ運動不足のA子は敢えて自転車を選んでいたのです。にもかかわらず、バカにしてくるB子のことをA子は内心よく思ってはいませんでした。とはいえ、息子の友だちの親を無碍にすることも出来ず……。愛想笑いをするしかありませんでした。
実は自転車に乗りたかった!?B子の息子
しかし、隣にいるB子の息子は違いました。A子親子を見るたび「ぼくも自転車乗りたい~!」と大きな声で訴えるのです。
そして先日はなんと、「ぼくも自転車で送り迎えしてほしい!ママがお金ないって言うからぼくは我慢してるんだよ!」「なんでうちはお金ないの~!お菓子も我慢してるのに~!」とB子の家庭の金銭事情まで暴露し始めたのです。これにはA子もびっくりしてしまいました。B子はというと、みるみるうちに顔が赤くなっていき……。よっぽど恥ずかしかったのでしょう。
電動自転車を買う余裕がないだけだった!
アップダウンのある地域なので、電動自転車でないとなかなか送迎は厳しいのですが、B子の家庭はどうやら経済的に余裕がなく電動自転車を買えないだけだったのです。それを聞いたA子は、スカッとした気分になりました。
B子の息子が可哀そうに思えたA子は、自分の電動自転車を一度B子親子に貸してあげることに。幼稚園の周りを一周したB子親子。B子の息子はとても楽しかったのようで、なんとも満足そうな顔をしていました。B子からもきちんとお礼を言われ、貸してよかったと思ったA子でした。
B子の場合はただの妬みだったのかもしれませんが、自転車での送迎をバカにするのはとても失礼な行為です。やさしいA子のおかげで、B子の息子も念願の電動自転車に乗ることができて良かったですね。
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:ichika.K