親戚の結婚式で
Fさんは当時まだ4歳だった娘と共に、旦那さん側の親戚の結婚式に招待されました。
「おじいちゃんがくれたお着物着ましょうね」
「はーい! 」
Fさんの両親が七五三でも着られるように仕立てた豪華な着物をFさんの娘に買ってくれたため、当日はそれを着せて結婚式に出席することに。
まだ小さな娘のかわいらしい着物姿に、Fさんの旦那さんの親戚たちは皆喜んでくれました。
「お着物はばあばがクリーニングに出してあげるね! 」
結婚式が終わった後、姑がいきなりそう言って娘の着物をFさんの手から取り上げます。
「着物のクリーニングって高いのに、お義母さん大丈夫かなあ…… 」
姑はとても見栄っ張りで金遣いが荒く、いつも手元にお金が残らないことで愚痴ばかり言っているため、Fさんは少し不安に感じていました。
「大丈夫だろ、母さんも母さんなりに孫に何かしてあげたいんじゃないかな」
「そっか、そうだよね」
旦那さんの言葉に納得し、Fさんは姑に着物を預けることにしました。
預けた着物が・・・
それから数週間後。Fさんは姑がいつまでたっても着物を返してくれないことが気になっていました。
「お義母さん、あの着物は…… 」
「ちゃんとクリーニングに出してるから大丈夫よ! 私が信用できないっていうの? 」
着物の話をするたびに姑がすごい剣幕で怒るので、Fさんは着物をどこにクリーニングに出しているのかすら聞くことができません。
「やっぱり遅すぎるよね…… よし、ちゃんと聞こう」
娘の着物はFさんの実の両親が孫のために仕立ててくれた、とても高価なものです。放ってはおけないと思い、Fさんは旦那さんを連れて義実家に行きました。
「お義母さん、着物はどこのクリーニング店に出してるんですか? 取りに行ってきますから教えてください」
「そうだよ母さん、そろそろ取りに行かないとお店にも迷惑だろ? 」
旦那さんと2人でそう尋ねると、姑は何故かしどろもどろになり、何も答えようとはしません。
「どうしたんだよ、母さん! 」
旦那さんが語気を強めて問い詰めると、姑がやっと重い口を開きました。
「実は…… 」
なんと姑は孫の着物を質に入れて、自分のブランドバッグを買っていたことを白状したのです。
「何やってんだよ!!! 」
当然ですが、旦那さんは激怒。
幸い着物はまだ質屋にあったため、姑が買ったブランドバッグやもともと持っていた宝石などを質に入れて、買い戻させたとのことです。
孫よりも自分の欲望を優先させるとは、とんでもないおばあちゃんですね。無事に買い戻せて本当に良かったです。
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:齋藤緑子