新居は中古マンション
当時Hさんは、学生時代から交際していた恋人と入籍を済ませたばかり。結婚式はレストランを貸し切り、親しい人だけを呼んで行う予定でした。
「結婚式より新居にお金をかけよう!」
Hさんと旦那さんは様々な物件を見て回り、ある築浅の中古マンションの8階の一室を購入することにしました。
「値段のわりにいいマンションだよね」
「うん、ここにして良かった! 」
Hさん夫婦が購入したマンションは駅から近く、周辺にスーパーやコンビニもあってとても便利な場所です。
立地から考えるともう少し高額でもおかしくはないのに、かなりお買い得な価格で購入することができたため、Hさん夫婦は良い買い物をしたと喜んでいました。
窓から見えた人影
ある休日、Hさんは休日にもかかわらず急用ができて出勤をした旦那さんを見送り、リビングで1人くつろいでいました。
「いい天気だなあ……」
外はカラッと晴れて気持ちの良い気候。Hさんがカーテンを開けた瞬間のことでした。
「キャッ!!!」
思わず声を上げ、その場に尻もちをついてしまったHさん。なぜなら窓の外に、真っ逆さまに落ちていく人影が見えたからです。
「まさか、飛び降り……?」
間違いなく、落ちて行ったのは髪の長い女性でした。Hさんはがくがくと震える身体をゆっくりと起こし、窓に手をついてなんとか立ち上がりました。
「どうしよう、110番するべき?」
半ばパニック状態になりながらも、Hさんは勇気を出して窓を開け、ベランダに出て下を見てみることにしました。
怪奇現象の理由とは
「あれ、いない?」
地上で倒れている人はおらず、子どもたちが平和に走りまわっています。
「確かに窓から人が……でも……」
そういえば人が落ちてから特に何の音もしなかったことに気付き、Hさんは自分が見たのは大きな鳥か何かだったのかもしれないとも思いました。
「いや、あれは確かに人だった!」
しかし何度考え直しても、確かに自分が見たのは髪の長い女性。Hさんには落ちていくその女性と、はっきり目が合ったという記憶があったのです。