不妊の原因は様々で、検査をしてみないことには男女どちらに原因があるかわかりません。しかし「自分は大丈夫」と信じたいがために、検査を拒否する人も多いといいます。今回は不妊治療の検査のために話し合っていたら、とんでもない事実が発覚した経験のある私の知人、Nさんから聞いたお話です。

旦那の失言

「ねえ、そろそろ本気で子どものこと考えてみない? 今日お義母さんがパンフレット持ってきてくれたの。検査だけでもって……」
「不妊治療? それって俺も検査しなきゃダメなの?」
旦那さんは渋い顔で答えました。
「うん、どちらに原因があるかわからないから。男性は簡単な検査みたいよ」
Nさんがパンフレットを見せながらそう言うと、旦那さんの口から出たのは意外な言葉でした。

「原因があるなら俺じゃないよ。よそではできたんだから」
「は? よそってどういうこと?」
旦那さんは、はっとした表情で口をつぐみました。
「ねえ、よそでできたってどういうことよ!? 」
Nさんが問い詰めると、旦那さんは会社の部下の女性と不倫をしていることや、最近その女性を妊娠させてしまい、子どもを理由に結婚を迫られていることを白状したのです。
「なんてこと」
意外なきっかけで発覚した旦那さんの裏切りに、Nさんは呆然としてしまいました。

検査してみると

しかしNさんはどうしても諦めきれず、すぐに不妊治療の病院に予約を取って旦那さんも一緒に連れて行きました。
「残念ですが、自然な妊娠は難しい状態です」
様々な検査をしたあと、告げられたのは残酷な事実でした。
「一体私の身体のなにが原因なんですか?」
Nさんが尋ねると、お医者さんは意外そうな表情で答えました。
「原因は奥様ではなく、ご主人にあるんですが……」
なんと不妊の原因は、Nさんではなく旦那さんにあることが発覚したのです。
「え、じゃあ妊娠は? あれ、どういうことだ?」
旦那さんはその場でパニック状態に陥ってしまいました。

Nさんは診断書を持って不倫相手の家に行くと、不倫相手はケロッとした表情で「ああ、バレちゃいましたか」と言いました。

妊娠は旦那さんを手に入れるための嘘だったのです。
「離婚するなんて言わないよな? 俺、あいつとは別れるからさ」
帰りの車の中、旦那さんはすがるようにNさんに懇願しました。
「うるせえ、私が今までどんだけ悩んだと思ってるんだ!!!」
Nさんは帰宅後、旦那さんに離婚届を突きつけて家を出たとのことです。

現在のNさんは再婚をして、かわいい子どもに恵まれたそうです。もしお姑さんが不妊治療の話を持ちかけてこなければ、一体どうなっていたのでしょうか。

何がきっかけで人生が変わるのか、本当にわからないものです。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子