教員をしている友人B子の体験談。現在は無くなった地域も多いという家庭訪問でのことです。ある家庭を訪問すると、パチンコの景品が溢れていて…? 新学期にいい印象を持たれたくて、つい保護者の言いなりになってしまった先生の、ちょっと笑えるお話です。
保護者からまさかの提案が
「先生、何でもいいから気に入ったもの、持って帰ってくださいよ!」
「ええっ!」
まだ後の家庭が控えているので、荷物は増やしたくない…。
でも、まだ担任になったばかりだし、失礼なことも口にできません。
「コレは?」「アレもいいかも!」
色々と見つくろってくれる押しの強さに、「要りません」と言えなくなったB子。
結局、新品のスーツケースを持って帰ることになりました。
ところが、それだけでは終わらなかったのです。
UFOキャッチャーの景品が溢れたご家庭
自転車の前カゴにスーツケースを乗せ、B子は次の家庭に向かいました。
スーツケースを玄関先まで持って入ります。
ひとつ前の家庭での顛末を話し、これから旅行に行くのではない、と強調しておきました。
「あら。先生、うちもあるのよ!」と保護者が嬉しそうな顔をします。
なんと、夫がクレーンゲームの景品のぬいぐるみを集めるのが趣味なのだそう。
家の2階に続く階段はぬいぐるみでいっぱいでした。
「先生には、クマのぬいぐるみね!」と娘さんと相談して、
「はい、うちからのプレゼントです。どうぞ!」と超ビッグサイズのぬいぐるみを渡されました。
その後は自転車の前かごにスーツケース、片手にぬいぐるみを持って家庭訪問を続ける羽目に…。
お土産はありがたいのですが、「私は廃品回収じゃない!」と心の中で叫びつつ、そんなことは誰にも言えない…。肩身の狭い体験をしました。
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:田中つぐみ